内容説明
スペインのコルドバの病院で目を覚ましたとき、アラベルはすべての記憶を失っていた。見舞いに来た黒髪の男性コルテスに夫だと言われても、何も思い出せない。地元の名士だというコルテスの尊大そうな顔を見ると、アラベルはなぜかひどく落ち着かない気持ちになった。そんなアラベルに、コルテスは「きみはぼくのものだ」と言って、名実ともに妻となることを要求してくる。でも、私にはほかに深く愛する男性がいたように思えてならない。アラベルは記憶にない“夫”を受け入れることはできなかった。ところがある日、彼の恋人だと名乗る女性が現れ、籠に入った鳥を見せられたアラベルは……。■HQ草創期に活躍した不世出の作家、ヴァイオレット・ウィンズピア。記憶喪失を題材に、謎めいたヒーローと無垢なヒロインの恋を巧みな会話と比喩で綴る、ミステリアスな一作です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
akiyuki_1717
2
記憶喪失もの。30年以上前の作品の再販本。序盤からミステリーっぽくしてるんだけど、最後にこんなんで事件が解決かと思ったら、もっと単純なエピソードにしておけばよかったのにと思った。いくら記憶喪失のヒロインでも、刑務所から出してくれ、屋敷で丁重な扱いを何週間も受けていながら、ヒーローを極悪人とひと目もはばからず口にする礼儀知らずな態度を繰り返し続けるのには閉口した。ヒーローは確信があってヒロインの好き勝手にさせておいたんだけど、結果が分かってもヒロインを好きにはなれなかった。2015/04/16