文春文庫<br> 疑惑

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文春文庫
疑惑

  • 著者名:松本清張
  • 価格 ¥590(本体¥537)
  • 文藝春秋(2013/10発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167697341
  • NDC分類:913.6

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内容説明

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ――。妻の名は鬼塚球磨子(おにづかくまこ)。彼女の生い立ち、前科、夫にかかっていた高額な生命保険について、稀代の悪女“鬼クマ”と断定しセンセーショナルに書き立てる記者と、孤軍奮闘する国選弁護人の闘い。球磨子は殺人犯なのか? その結末は? 桃井かおり、尾野真千子らが熱演した名作推理サスペンス。明治の藤田組贋札事件を描く「不運な名前」併録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

NAO

80
前科があり、やくざとつるみ、過去の殺人犯人を連想させる名前。鬼塚球磨子にはやくざがついているということで、彼女がシロならやくざを伴ってお礼参りにやって来るという設定のもと、疑惑が本当なのかどうなのかが明らかにされていく過程は、なかなかスリリングだった。ラストがなんとも衝撃的。併録されている『不幸な名前』は、明治初期の藤田偽札事件をドキュメンタリー風に描いた作品。 2019/08/23

じいじ

72
夫婦の乗った乗用車が、港の岸壁から海へ…。妻だけが水中から脱出します。夫には3億円もの生命保険が、妻受取人で掛けられていました。状況証拠もバッチリで、警察に逮捕されたのは妻でした。新聞・週刊誌の報道も「犯人は妻・球磨子」と書き立てます。しかし「私はやってない」妻は主張を曲げません。ハンドルを握っていたのは妻か夫か? 謎がどんどんと出てきます。書き手が松本清張なので、最後に意外な判決が用意されています。130頁の中編だが、中身が濃くて読み応え充分でメッチャ面白いですよ。2025/05/25

セウテス

51
松本サリン事件が起こった当時、頭に浮かんだ作品でした。ある夫婦が乗った車が埠頭から海に落ち、一人助かった妻に対し夫には多額の保険金がかけられていた事実から、ある新聞記者が妻による殺人だと疑う。妻の弁護士は、世間の風評にぶれる事なく、実際の証拠をさまざまな角度から検証し事実へとたどり着く。正義の名のもと妻の犯罪を記事にして、世論の誘導に酔しれていた記者が、記事の破綻によって追い込まれていく様は正にサスペンスです。地道な証拠の検証だけから、予想を遥かに超える真実を導き出した事は、見事の一言です。風評は怖い。2014/07/28

ぐうぐう

32
「疑惑」は、とても現代的な主題を取り扱っている。マスメディアの行き過ぎた正義感による扇動的な記事が冤罪を起こすかもしれない懸念が描かれているが、そもそも記者のその正義感は市民の声を受けてのものだ。現代的に言えば、フェイクニュースを信じ込む人々の心理と似ている。それ以上に「疑惑」は、ミステリとしての存在感を大いに放っているのが頼もしい。社会派であることで本格ミステリ的要素をおざなりにしない松本清張の矜持がここからは感じられるのだ。(つづく)2023/01/12

うーちゃん

26
清張ドラマの定番といえば、「疑惑」。華やかな女優対決みたいなイメージが強いけど、原作はいたって地味。稀代の悪女・鬼塚球磨子は間接的にしか登場しないし、弁護士は中年男性。100ページほどの中編であったことも驚き。何より後味の悪さがすごい。追い詰められた人間の、何かが決壊する瞬間を見せつけられる。女は図太く強か、男は土壇場で弱いというのは清張作品ではよくみる男女像だから、好きな人には安定して面白い。2019/03/09

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