避難弱者―あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?

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避難弱者―あの日、福島原発間近の老人ホームで何が起きたのか?

  • 著者名:相川祐里奈【著】
  • 価格 ¥1,584(本体¥1,440)
  • 東洋経済新報社(2013/09発売)
  • ポイント 14pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784492223314

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内容説明

東日本大震災時、福島第一原発から30km圏内の老人ホームは、住民の避難から取り残されてしまった。ライフラインもなく、通信手段が遮断された中、職員と入居者は、続けざまに原発が爆発する音を聞く。多くの職員が放射能の影響に関する情報を得ることができず、不安を抱えて一斉に施設を後にすることを余儀なくされる。
 取り残された入所者は避難が遅れるに伴い、寒さの中で目に見えて衰弱していく。老人ホームに留まり、なんとか手探りで避難の糸口を見いだそうとする職員の努力もむなしく、高齢者は避難途中や避難直後に立て続けに亡くなってしまう。避難したくてもホームだけの力では移動手段も受け入れ先も確保できない状況。そこには、放射能の恐怖と戦いながら不眠不休で入所者の命を守ろうとした職員たちの奮闘と葛藤、苦渋の決断があった。
 レベル6の原発事故に直面し、手探りの中で入所者の命を守るために奮闘した介護士の決断と葛藤を赤裸々につづったノンフィクションドキュメンタリー。世界でもっとも高齢化の進む日本に突きつけられた重い命題へのヒントにあふれた一冊。

目次

第1章 「終わりだ。原発が爆発した」―死者が続出した老人ホーム、バラバラに避難した老人ホーム
第2章 「おらがこんな状況だから、みんなおらのことおいて逃げんだべ」―最後まで取り残された老人ホーム、長距離避難を強いられた老人ホーム
第3章 「やっぱり、高齢者には避難は無理なんだ」―避難しないことを選択した老人ホーム
第4章 「最後は俺がケツを拭くから。明日にでも受け入れるよ」―行政よりも早く避難者の受け入れに動いた会津の老人ホーム
第5章 「子どもができなくなったら、どう責任とるんだよ!」―現場で戦った職員の本音
第6章 「弱者が淘汰されていくのかと思うほど簡単に亡くなっていく」―今、何をすべきか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kinkin

31
3.11の時、福島原発事故時に老人ホームや介護施設において何が起きていたのかを多くの証言を元に構成されている。この地震以降、多くの避難マニュアルや、法律などが作られたが、それがまたどこかで起こるであろう災害時にちゃんと活かせるかは疑問の部分もある。第6章、今何をなすべきかとても大事なことが書かれている。災害時に国、地方自治体、各市町村がどう対応できるか 大きな災害時に「想定外」という言葉を使わなくともよい仕組みを構築することが大事だと感じた。2014/08/03

壱萬弐仟縁

18
平常時ですら、健康な人からすれば非常時の健康状態の方。31頁脚注16によると、当時の枝野官房長官の不安の同心円波紋。思い出した。最初から広げればいいのに、徐々に避難圏を広げていくとは、今でも逆であったと思われる。1F周辺には老人ホームが多い(48頁)。麻生太郎氏は、年寄りはとっとと・・・発言はそうした立地を言い当てているかのようである。酷い話だ。水素爆発した時に、北西方向が高濃度だったのに、福島高校体育館経由して栃木県方向へ逃げたようだ(61頁)。65頁では職員が留まるか、逃げるか二者択一を迫られている。2013/12/09

ようはん

15
東日本大震災による福島原発事故を避難区域にある各老人福祉施設の視点から見た一冊。未曾有の大事故の中で普通の人でも急に避難する事自体は困難であるが施設の入居者はそれぞれ身体が弱く一人一人事情を抱えており食事や避難方法の確保、転々とする避難場所とかなりの困難と苦労を極めていたのが生々しく書かれている。その中で入居する高齢者の方々の避難や介護に尽力した各施設の施設長や職員の方々の苦労には頭が下がる思いである。2019/06/23

遊々亭おさる

15
2011年3月11日、東日本大震災と原発事故、福島原発間近にある市町村で次々と避難指示が出るなか、要介護者が住む老人ホームは混乱の極みのなか手探りで命がけの選択を迫られていた。はたして、福島原発間近の老人ホームが残した教訓とは何か?事例としては些か規模が大きすぎるのだけれど、老人ホームや病院、お年寄りが住む各家庭は普段、何に気を付けなければならないかを知る縁にはなると思います。備えがあっても憂いは残るが、その日は突然やってくる。少なくとも施設長クラスの人は、入居者及び職員の命を守るために必読の一冊。2014/06/15

Humbaba

6
普段の生活でも介護が必要な人。そのような人は、震災が起こった時には非常に厳しいことになる。介護をしている人間も、同じ場所に住んでいるのだから震災の被害を受けている。その状態において、普段と同じ介護を求めても、それは難しい。また、避難所では道具もない以上、介護者は普段以上の負担を強いられる。震災時にどう対処するかは、平時の時にこそ考慮する必用がある。2013/09/26

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