内容説明
変化を求めず、目の前で起こることをやり過ごすのが人生だと思っていた休職中の田野と痛い目に遭いつづけながら、あっけらかんとしているモモ。不忍池で出会った二人は霞ヶ浦にむかう(「すっぽん心中」)。スイッチの入った男の狂騒と暴走(「植木鉢」)、屋上の狂人のバトルと本心(「鳩居野郎」)の三本立てで贈る現代の小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nuit@積読消化中
117
読友さんの感想を読んで読みたくなった一冊。そして戌井作品を読むのは初めてで、「あ!映画の亀岡拓次の作家さん!」と気が付いた。映画の原作者ということでしか著者のことを知らなかった。まさか芥川賞候補にもあがってたなんて。しかし、これが読んでみたらとても面白い。表題作の他に2編入っており、一番のお気に入りは「鳩居野郎」かもしれない。いずれの作品も何だか主人公に親近感というか憧れめいた生き方を感じさせる。著者の他作品も絶対読もうと思いました!2017/09/15
ガクガク
46
表題作ほか2編。表題作は芥川賞候補作。途中まで本当に二人がとんでもない展開で心中しちゃうんじゃないかと期待したら、すっぽん捕獲に疲れ果てた帰路の電車で「まるで心中に失敗した二人みたい」と田野が思っただけだったので、少々がっくり。料理屋で使うすっぽんは多分養殖じゃないかと思ったので、その辺は想像通りの展開。何か滑稽で物悲しい、でもあまり重くはない話。「植木鉢」の展開はびっくりだが、主人公がそのまま死ななくて良かった。「鳩居野郎」も大の鳩嫌いが結局は鳩を助けてしまう可笑しな話。最近鳩を捕まえた孫を思い出した。2013/12/30
ミカウバー
41
第149回芥川賞候補作品となった、むち打ち症の男とプチホームレス少女が織りなす表題作「すっぱん心中」、実家の近所で起きた殺人事件に興味を抱く男を描いた「植木鉢」、いかに自らが鳩を嫌いかを切実に訴えている「鳩居野郎」の三作品からなっている短編集。どの篇もコミカルな要素が含まれていてとても面白かった。著者の他の作品も是非とも読んでみたい。2013/10/22
ケンケン
40
(423冊目)戌井作品2冊目。ちょっと可笑しいな男を描いた短篇集。表題作の『すっぽん心中』が一番面白かった~モモの言動が変にツボにハマって笑えました。 シュールだな(笑)2015/08/16
ちさと
33
どこにでもいそうな男の前に、破天荒な女が現れまた消えていく…というのは良くあるお話。芥川賞候補の表題作「すっぽん心中」もそんなストーリーです。心理的などろどろはなく、代わりに捕まえたすっぽんがどろどろになる。ちょっと笑えない。登場するのは底辺にいるような女の子なんですけど、心のなかに狂暴的な一面を秘めながら、どこまでも楽観的に生きていられるのは女の子だからだろうな。これが男の子だったらこうはいかない。あっさり終わってしまってぽかーんとする作品。2019/04/19
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