内容説明
性愛文化の最先端にあった江戸庶民は、男色でも同時代の世界をリードしていた。その起源から衆道の奥義、武士同士の「念友の契り」、「小僧は脚気の薬」というような俗信、陰間の生態、陰間茶屋の様子まで、女色の「天悦」に対して「大悦」と呼ばれた悩ましくも奥深いこの道を、当時の色道奥義書の図版や古川柳を交えて紹介する。
目次
1 若衆仕立て用のこと
2 通和散のこと
3 若衆・寺小姓・地若衆
4 念者、兄分と弟分
5 小僧は脚気の薬
6 男色嗜好の男たち
7 陰間の生態
8 陰間茶屋の実態
9 陰間茶屋の客
10 肛交の実際
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
とんこ
29
豊富な図版と資料、古川柳から、江戸の男色文化を解説した本。行為についてかなり具体的に解説してあり、これ読んだあとはBLファンタジーエロを楽しめないので読了に時間がかかってしまいましたわよ。蔭間や稚児といった受け手の苦痛が前提なので、年齢を考えると凄惨な性的虐待なのだけれど、今の感覚では測れないものではとも思います。古川柳はどれもユニーク。いちばんインパクトあったのは「けつをされ うんこが中へ 這入るやう」直球にも程があるだろ。2025/04/16
海星梨
11
いつのか不明だがKU。受け手の苦痛が前提だったり、そりゃクソも出るよ、とBL漫画の世界がやはりフィクションだと思わされる一冊。俳句として、絵本として、揶揄と共にあるものとして認識されていた男色の世界が解説される。「弘法大師がー」と偉い人や、「脚気に効く」と病気治療とかをいいwけに、堕落に浸る感じ、リアル。昔から男性同士を描く物語があったんだなと思う。2023/12/20
はなはな
7
友人オススメ本。江戸時代の川柳を通して衆道の解説してますが、風俗からハウツーまでかなり細かく読みであり。図も盛りだくさんで電車では読みにくいですが、興味深く貴重な著作。2015/06/15
Myrte
5
すごかった。文献も絵も川柳もふんだんに載せられており、読むのが大変であった。一級品の資料だらけ。筆者が作中で言ってるように敢えてマイナーどころを載せてるそうで、江戸時代の男色文化に興味のある人は必読。しかし他の方が仰っていたように受け手の人は大変らしいことがすごく書かれているため、今後はBL系のものを心穏やかには読めなくなるね…2025/09/03
kenitirokikuti
5
揚げ雲雀という仕様があり、具体的な体位は不明なのだが、〈くわんげん(管弦)〉のようになんちゃらしたのだろうとあり、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ作曲 The Lark Ascending のイメージが大いに損なわれてしまった…。2023/03/18