内容説明
「公害の原点」と呼ばれる水俣病事件から50年もの間、患者の側に立ち続けた医師、原田正純。世界のあちこちで公害病の人たちを診察し、水俣から社会のひずみを訴え続けた。原発事故後の今、過去を知り、未来に活かすことの大切さを伝える。
目次
第1章 医者になんかなりたくなかった
第2章 見てしまった責任
第3章 人よりもお金が大事なのか?―三つの公害・事件を追って
第4章 患者さんとともに生きる
第5章 世界のあちこちで起こる公害・事件
第6章 これからを生きるための水俣学
第7章 原田先生からのバトン
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ベーグルグル (感想、本登録のみ)
48
「みなまたの木」で知った原田正純医師。水俣病だけでなく、カネミ油症などの原因究明にあたった原田先生の生涯について書かれたもの。病気そのものも大切だが、いつも患者さんの目線で寄り添う姿勢には敬服しました。水俣病の原因が分かっていたのにも関わらず、新潟水俣病の発生には心を痛めた事だろう。欲にまみれた人間の浅はかさ、貧困による影響など、色々と考えさせられた1冊でした。子供たちに是非とも読んでほしい。2021/02/17
Gummo
22
真ん中にいることが中立・公平といえるのは、両者の立場が同じくらいである時だけであり、水俣病事件の場合は、社会的・経済的に立場が弱い患者の側に立たなければ公平ではない――。50年もの間、水俣病に取り組み、患者に寄り添い続けた医師・原田正純(1934-2012)が、自らの人生を語り、未来を生きる世代にメッセージを贈る。社会的・経済的弱者が住む地域で公害が起きる、もしくは起こされるとの指摘は、例えば原発の立地なんかを考えてみても確かにそうかもしれない。より良い未来のあり方を考えるための一冊。 ★★★★☆2013/10/11
あん
21
今年の小学校中学年の課題図書です。息子が借りたものを、私も一緒に読みました。水俣病に立ち向かった原田先生の伝記です。日本の公害病だけでなく、全世界のあらゆる公害病にも立ち向かっていたんですね。何も知らなくて恥ずかしくなりました。中学年ではなくて高学年向けでは?と思いましたが、私にとっては改めて考えさせられる一冊となりました。読んでよかったです。2014/06/17
みさどん
20
水俣病患者に寄り添い続けた原田先生が教えてくれる水俣の姿は本当に辛い。先生自身も中傷や批判にあわれる。それでも虐げられた人々に出会った責任だと全うされる。水俣病は水質汚染公害を社会に認めさせた大きな病気だけれど、世界には同じような、いや、さらに悲惨な状況があることがこの本からもわかる。差別や貧困の中に公害が起きるとされる様子も本当に辛い。現在は少しでも改善されているならいいけれど。日本では水俣の教訓が生かされていると思う。それでも、水俣の闘いは終わっていないんだ。2018/11/15
ぱんにゃー
20
知る! とても大切なことかもしれません。そして、自分の出来る事を行う。/この一年、読書メーター、読メンバーさん、図書館さんのおかげて、今まで縁がなかった児童書や絵本から色々学ばせて頂きました。ありがとうございます。2013/12/29