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内容説明
抗生物質は多くの国で間違った使い方をされているが、日本においてそれは顕著であり、ほとんどが誤用の抗生物質すらある。必要のない症状に漫然と処方されているため耐性菌が増え、抗生物質を治療の切り札とする感染症に使用できずに患者が亡くなることもある。つい足し算の医療をしてしまう医師、医師まかせにして病院ブランドや薬にしがみつく患者の双方の態度に警鐘を鳴らしつつ、臨床医学のよりリッチな世界観へと読者を導く。
目次
第1章 かぜに抗生物質は必要ない
第2章 21世紀の感染症の世界
第3章 「診断」という知的営為―臨床医、リッチな世界観を持つべし
第4章 臨床をなめんなよ―現場の医療レベルが上がらない、その理由
第5章 経口三世代セファロスポリンは、99・9%が誤用
第6章 日本感染症界の「黒歴史」
第7章 もっと「感染症のプロ」を―日本の感染症専門医、その信頼性について
最終章 さらば、「足し算」の医療―ポリファーマシー(多薬剤処方)の問題
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ボル
21
2013年8月刊。類書を幾度か確認したので本書の有用な点に絞ってレビューします。本書は各章の最後にポイントとしてまとめられていました。p282には資料4「高齢者が一般に使用を避けることが望ましい薬剤」として抗生物質(抗菌剤)の成分リストがある。出典は徳田宏治編集となっている。特に日本では医療現場で抗生物質の多用した結果、耐性菌が出現後薬が全く効かなくなり、院内感染する例が後を絶たない。医師も患者の要望に応えるため、抗生物質を間違って処方してしまう。私たち自身が薬の正しい知識をもつ必要を改めて感じます。2019/12/25
ふろんた2.0
18
風邪に対しての抗生物質は不要。仕事や生活のことを考えるとついつい薬に頼りがちになるが、まずは自然治癒を試みないと。2014/11/01
fseigojp
9
臨床の業績だけで教授になった男 一種の快男児 日本もアメリカ医学にやっと追いついてきた2015/07/17
陽@宇宙望遠鏡⭐︎星と宇宙とロケットが好き
8
微妙な段階は時間で経過観察し判断。二元論からの脱脚。 リスクヘッジとしての抗生物質の可能性。予防投与ではない適切な処方。耐性菌の増加。 実証主義、構造主義、構造構成主義的な観点からの医療を考える。 「類化性能」「別化性能」 「デギュスタシオン」 ドイツ医学ー演算法的な 英米医学ー帰納法的な 耐性菌増加による研究開発の縮小閉鎖の状況 適正使用の周知、感染症対策 農業分野での抗生物質2013/10/08
まさきち
7
医師必読.医学教育に関わる人間必読.医師以外の医療に関わる人間必読.つまりは患者も必読.これから患者になる日本人必読.というぐらいに,他人におすすめしたい一冊.いや,わかります.このぐらいのことはわかっているよという賢い方々がいらっしゃるのは.でも,そんな人が多数派ではないから,著者の岩田先生は苦労して本を書き続けているのだと思います.その気概に報いるために,来週,学生に内容をかいつまんで紹介して,読みたい気持ちにさせてきますよ.2013/11/01