内容説明
太平洋戦争末期の昭和十九年三月、インドを英国領から解放し、新政権樹立を目論む日本は運命の一戦に打って出る――インパール作戦。後に「無謀な作戦」の代名詞となった戦いは、補給路を軽視したため夥しい餓死者を生む修羅場と化した。渦中にあった若き兵士たちが胸に秘めた、愛する家族、母国への想いとは何だったのか? 心揺さぶる魂の戦記。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshida
142
悪名高いインパール作戦が津本陽氏独特の記録的な文体で描かれる。圧倒的な火力差、物量差を敢闘精神で打破しようとした日本軍の地獄が描かれる。大東亜戦争開戦時からインパール作戦の破綻まで。ビルマ方面軍である第十五軍の犠牲者率は実に80%に達する。最前線を見ずに前線の部隊を罵倒する将官。しかも、将官は作戦の失敗の責任を取らずに我先に芸者と逃げる。あげくは内地に戻り昇進する。牟田口司令官は戦後も自己弁護に終止したと聴く。昭和19年3月と敗色濃いなかで開始されたインパール作戦。作戦の意味があったのか。疑問しか残らず。2017/07/29
るーしあ
116
悪名高いインパール作戦。その作戦のノンフィクションに近い作品。劣悪な環境の中でどれだけの人間が無念の死を遂げたのか。太平洋戦争末期の日本を知るのに読んで悪くはない作品。ただし各章によって時代が前後し、舞台が変わるのが戸惑う。そして毎章似た内容のことを繰り返す。また、巻頭の地図がほとんど役に立たない。出てくる地名が載ってないのは致命的。小説としては多大な期待はしない方がいいかもしれない。2015/03/26
姉勤
39
泥と崖と、蛭や蛆、蚊に悩まされ、飢え、伝染病、赤痢、不眠を患いつつ、食料も医薬品もなく、灼熱のジャングルを、小田原から日本アルプスを超え、岐阜に至る距離を、徒歩で5,60kgの荷を負い、爆撃機と戦車や迫撃砲、機関銃に数少ない弾と銃剣で立ち向かう。それで「勝て」と酒を汲み、芸者を呼び、風呂に浸かり命ずる安全な後方の司令部。数ミリ数秒の差が生死を分つ戦場の、死が救いとなる絶望の果て。数年前は田をおこし、稲の実りを喜んでいた男たち。骨と魂は帰国せず、鬼も哭き、人も泣け。犠牲者124,000命、犠牲者率80% 2023/08/17
り こ む ん
39
おかしいのだ…火力の差を知っているはずなのに…どーして、根性戦国武将と化してしまったのか?日本は、幕末で近代兵器の力を学んでいたのにね。昭和の鎖国が近代から遠退けた…世界を知らなすぎる。知ろうとしない島国。あとがきにあった。日本は、歴史が長い…だけども伝えてない。と、ここ最近、本当に伝わってないなって感じる…戦争を知らない世代のなか、戦争をしたことを知らない人がいる。歴史が断たれ、変な武勇伝だけがその時だけ掘り返される。ちゃんと繋げていかないと…同じだよ…繰り返すよ。2017/08/19
C-biscuit
26
図書館で借りる。津本陽がこのような本を書いているとは知らなかったが、会社時代の先輩の話がベースになっているようである。ノモンハンやガダルカナル等と並ぶ悲惨な戦場であり、「失敗の本質」にも挙げられている。内容は最前線で戦い、生き残った兵士の目線で書かれている。そして、前線を見ずに机上で計画するだけの上官や自分だけ助かろうとする上官など人間の弱さと、組織の怖さを思い知ることができる。どんな組織もそうであるが、それを動かすものの資質が劣悪であるときに、組織は苦労する。会社も同じであるが、命のやりとりまではない。2017/08/31
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