NHKブックス<br> 『平家物語』の再誕 創られた国民叙事詩

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NHKブックス
『平家物語』の再誕 創られた国民叙事詩

  • 著者名:大津雄一
  • 価格 ¥838(本体¥762)
  • NHK出版(2013/12発売)
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  • ISBN:9784140912065

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内容説明

誰がでっち上げたのか。
なぜ捏造したのか。

平家一門の栄華とその没落・滅亡という古代末期の変革の時代を見事に活写した『平家物語』。それが、いつ国民的叙事詩へと祭り上げられ、さらには「国民文学」となったのか。「奉公の誠」を語る日本精神の粋、もののふの文学、歴史の進歩と発展を語る、新興階級武士の文学……。『平家物語』に幾重にもまとわりつく古びた〈読み〉。そうした読みの形成過程を剥ぎ取り、『平家物語』が時代とともにどう歩んできたのかを明らかにする。近代日本の隠されたもう一つの道筋を辿る労作。

目次

序章 前近代の『平家物語』
第1章 明治近代と『平家物語』の再誕
第2章 国民的英雄叙事詩の誕生
第3章 戦時下の『平家物語』
第4章 敗戦後の『平家物語』
終章 『平家物語』の現在

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

サイバーパンツ

13
‪江戸時代までは娯楽だった平家物語だが、明治には近代国家にふさわしい国民を養成するための「国文学」の一つとしてカノン化され、その後、国家至上主義・軍国主義への移行と共に、日本精神(武士道)を伝える柱として政治的に扱われた。また敗戦後には、歴史の進歩を示す民衆革命の物語としても扱われていた。という風に、叙事詩として扱われてきた平家物語が、江戸~現代までどのような変遷を辿って来たかを見た上で、このような一つの解釈で規定しようとするあり方を批判し、自由な読みをしていこうと唱える。堅めの内容に比して読みやすい良書2017/07/17

軍縮地球市民shinshin

12
『平家物語』の日本近代における受容史。明治の国民的叙事詩論、昭和初期の武士道の真髄・日本精神論、終戦直後のマルクス主義による国民的文学論と時代ごとに『平家物語』の読まれ方が異なっていたことを指摘している。昭和初期の「軍国主義」によって、『平家物語』は武士道の精華と顕彰され、若者を死地に追いやるための道具として利用されたと厳しく指摘する。変わって、終戦直後は新興武家勢力の平家を貴族に対抗する「革命勢力」と左派の国文学者は持ち上げたが、著者はそちらの方はあまり批判しない。2018/08/10

鐵太郎

5
日本人にとって「平家物語」とはどういうものだったのか、どういう捉え方をされたものだったのか、どうあるべきと考えられたものだったのか。 ─ 歴史的なものを踏まえた「平家物語」の解説かと思ったら、ひたすら江戸時代から現代までの叙事詩としての「平家物語」の変遷でした。そもそも叙事詩という西欧の概念を無理に日本にあてはめた事による悲劇、といえるかもしれない。ちなみに、本のオビにあった「なぜ、でっちあげたのか」という言葉は意味不明。解釈のばらつきはあるけれど、でっち上げたとはどこにも書いていないと思うんだけどね。2015/11/18

rouningyou

2
江戸時代までは平家物語はその様々なエピソードを娯楽として、誰もが知ってるお話として楽しまれていた。明治になり近代国家としてふさわしい国民を養成するため国文学というものが作られ、その中で日本の精神を代表する古典が必要となり、国民的叙事詩と言われ、日本精神、武士道精神を表現したものとして政治的に取り上げられた。戦時中、国文学者達は、潔く天皇のために死ねる若者を育てるために平家や太平記を利用して熱心に国策に協力したという。敗戦後は中世革命などと読み変えられたりしていたこともあるようだ。そこからは琵琶法師の語り口2015/04/09

onepei

2
『平家物語』を国民叙事詩ととらえようとする動きがあったのは初めて知った。 国文学界の戦中戦後の動きにも触れられており、興味深い。2013/09/09

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