内容説明
震災歌集として注目を集めている『トリサンナイタ』の〔普及版〕。受洗、妊娠、出産を経て、仙台で家族と共に平穏な日々を過ごしていた矢先に東日本大震災により被災。遠く宮崎に避難するまでを詠い上げた第4歌集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
92
こんな作品に出会えるので歌集を読むのをやめられないのだ。前半の斜に構えてユーモラスな歌が、出産と同時に優しさと深みを増してくる。赤ちゃんを育てる苦労も歌われており、私の母親もこんな苦労をして自分を育ててくれたのだと思った。育児に疲れた女性が子供を殺してしまった報道に添えられた歌には鬼気迫るものがある。仙台在住の作者は311の震災に巻き込まれてしまう。避難する時の歌もあり、震災の優れたルポルタージュになっていた。お気に入りの歌をご紹介。「寝た子のかはいさ平べったさに一枚のタオルケットかけてやるなり」2014/08/03
kaizen@名古屋de朝活読書会
41
#大口玲子 #短歌 #現代女性歌人展 わが犬に金銭のこと考えぬ幸ひのあり水を飲みをり 筆先を水で洗へばおとなしく文字とならざる墨流れたり 薄味の汁に泳がせ白魚の春のこころの一途を食へり 嘔吐して口ぬぐひたり光の春を生き続けむとして水を飲む 春雨に濡れ万物の憩ふ昼まなこ閉ぢわれは安心すべし 犬を洗ふ仕事のありてわが犬は徹底的に洗はれてをり 2016/07/21
ひつじ
12
地元の賞を取られてたので気になって。日々の心情が赤裸々に詠まれている気がします。虐待の事件がメモのように歌に添えてあってそれを受けての歌?そんなに多くの事件があったことに吃驚…。「これも地震でこはれちやつたよね子はいちいち立ち止まり指を差し呟けり」2014/08/23
浦和みかん
3
大きく分けると子を産む以前の歌、子育ての歌、震災の歌、になるか。子育ての歌は、幼い子がそういうものなのかもしれないが、この世ならざるところに片足突っ込んでいるというか、違う世界へ行ってしまいそうな危うさが感じられた。よい歌集。<桐の花散り敷く夕べやすやすと夫は生命保険に入る><子が眠る間にわれは島へ渡り煙草一服して戻りたり><長崎のさくらのはなびらつめたいね 丹念に拾ひ集め子は言ふ>2018/10/12
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