内容説明
登山と聞けば、一般的にはエベレストのような高山をはじめ世界の峻険な山頂を目指す山登りをイメージするのではないでしょうか? 著者が魅せられたのは、それらの登山とは別の価値観をもつ、山麓や山の道を何日もかけてめぐり、自然の、文化の、歴史の一歩一歩を楽しむロングトレイルという山歩き。バックパッカーとして海外の名だたる山の道(トレイル)を歩き、その経験を生かして構想からかかわった日本で最初のロングトレイル「信越トレイル」は、いまでは年間2万人以上の人が歩いているといいます。そのほか、三陸海岸の自然歩道を、復興と防災につながる道として整備する「みちのく潮風トレイル」や九州や北海道の「自然歩道」整備についての構想を語っています。2010年に筋萎縮性側索硬化症を発症後も動ける間は講演を続けましたが、本書は特に若い世代に向けて自然にふれること、自然を保護することの大切さを伝えようと最期まで取り組んだ本です。
目次
第1章 自然との出会い<br/>第2章 八ヶ岳南麓<br/>第3章 樹は森の哲学者<br/>第4章 ロングトレイルという文化<br/>第5章 国立公園の生かし方<br/>第6章 日本のロングトレイル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roatsu
23
米国発祥のロングトレイル文化とは何かということを必要十分に伝えてくれる記述はもちろんのこと、自然に親しむことを心から愛し、その心に従って歩んだ人生の軌跡は本当の幸せについて一つの典型を示してくれると思う。P58の「歩く旅の幸せと歩く者の特権」の一文はひと際味わい深い。心血を注いだ和製ロングトレイルである信越トレイルの成功を始め、ロングトレイルそして歩いて旅をすることは日本の自然、これと密接不可分な文化を味わう観光の一つの在り方としてより重視すべきと思う。第5章の日本の国立公園について述べた章は制度自体の2018/05/20
kiho
6
トレイルを通じて大自然を感じることが加藤さんの最高の喜びだったことが伝わってくる☆思わぬ病のこともこの本が遺作になったことも読んで初めて知りました。日本のトレイルの魅力も開拓された方だけに、自然の道を歩む純粋な心持ちが輝いて見えてくる…歩くことの喜びと意味を感じた。2014/03/31
Kazyury
4
「ロングトレイル」の魅力を十分に伝えているとは言い難いが、比較的短く、読みやすい文章でロングトレイル文化に対する著者の熱意は伝染した。 故人となられていますが、ロングトレイルという文化を教えていただいたことに感謝します。2019/04/13
Daisuke Toyoda
3
加藤則芳さんの遺作。加藤さんの若き日の足跡、自然保護にかける思い。ロングトレイルという登山とはまた違った山歩き、山旅のスタイル。加藤さんの残してくれたメッセージを心の片隅において、自分なりにアウトドアを楽しんでいきたい。2013/09/02
T・Shirai
2
2013年に惜しくも亡くなられたネイチャーライター加藤則芳氏の自然保護、ロングトレイルへのメッセージが込められた本。本のカバーに書かれていますが、「ロングトレイル」とは、険しい高山の頂上や人跡未踏の世界をめざすのではなく、山麓や山の道を、自然を守り、楽しみながら、何日も何か月も歩く、もうひとつの山歩き、というものです。とても美しく印象深い言葉が多くある本です。もうひとつの山歩き、という言葉に共感しました。2014/11/08
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