内容説明
現行憲法については、戦後、GHQ草案を翻訳してつくられたものであるという誕生の経緯と、戦争放棄を記した第9条、ことに集団的自衛権をめぐって、常に改正論が出てきていたが、安倍政権が、自民党改正草案を示し、2013年7月の参議院議員選挙で過半数を得たのち、96条の憲法改正の条項の改正を皮切りに、本格的にそれに着手しようとしていることから、にわかに憲法改正論議が高まってきている。
憲法改正というと、9条改正問題に目を奪われがちだが、著者が着目し、危惧するのは、自民党草案に見られる、憲法の本質、根幹を揺るがす思想だ。では、憲法の本質とは何か? いったい、何が変えられようとしているのか?
イデオロギーではなく、あくまでもロジカルに改正草案を検討し、それを中学生にもわかる易しい説明と口調で説かれる本書は、今こそ私達一人ひとりが、憲法に関する自分自身の意見をもち、いずれくるであろう国民投票の場で、冷静な判断をしていくのに恰好のテキストとなるであろう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ロッキーのパパ
14
著者はガチガチの現行憲法主義者ではなく、変えるべきところはあるという現実的な視点を保持している。その著者が、自民党の憲法改正案の問題点が、憲法の本質を変革する者であることを指摘している。ぼくも現行憲法の基本的人権の理念は守るべきと考えるので、著者の主張には同意できる。2013/11/04
世話役
10
一見ライトなタッチだが、著者は若くして裁判官も務めた法曹界のエリート。法律家としてきちんとポイントを押さえて議論している。著者は現行憲法の命である13条本文「すべて国民は、個人として尊重される」という規定の文言が自民党改憲草案で「すべて国民は、人として尊重される」と書き換えられていたことに危機感を覚えたという。草案には目を通したつもりだったが、まさかここまで変えてきていたとは…。9条改正の是非がかまびすしいが、実はそれこそ目くらましではないかと思った。手軽ながら改憲草案の本音≒問題点を浮き彫りにする良書。2013/07/30
CaLiLa
7
危機感を持った自民党の改正草案。危機感の答えがココにあります。同じ様に危機感を感じる人が分かりやすく解説してくれていて安心した(笑) ただ、未だ改正案の内容が議論すらされていないのにこういう本が出ているというのが一番不気味。2013/09/14
Humbaba
5
日本の憲法は、戦後ずっと変わってこなかった。だから変わってはいけないという訳ではないが、変える際には充分な注意が必要である。憲法の成り立ちやよって立つべきところなどの理解が不十分なままに、性急に推し進めてしまえば、やがては取り返しの付かないことになりかねない。2013/11/17
tknmst
5
9条改正、96条先行改正がクローズアップされがちだけど、「憲法の本質」が変わってしまいそうな、自民党の草案のほかの部分もヤバいと訴える。かなりコンパクトにまとめている一冊。これぐらいの量じゃないと普通の人は読まない(読めない)。多くの人が全体像を理解しないまま、改憲に突き進むとヤバそう。2013/07/31
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