内容説明
『正法眼蔵』は、日本における曹洞宗の開祖・道元の主著。生涯を掛けて全100巻の著となる構想だったが、54歳で示寂し、未完の大著となった。同著は、哲学的で難解といわれているが、たとえば道元思想のキイ・ワード「身心脱落」について、訳者は「角砂糖が湯の中に溶け込んだとき、角砂糖が消滅したのではないのです。ただ角砂糖という状態――それが<俺が、俺が……>といった自我意識です――でなくなっただけです。砂糖は湯の中に溶け込んでいるように、自己は悟りの世界に溶け込んでいるのです。身心脱落とはそういうことです。」と、わかりやすく解説を加える。坐禅の指南書としてではなく、釈迦の教え、すなわち仏教を正しく理解するための智慧を与えてくれる書として読み解きたい一冊。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テツ
24
正法眼蔵を解りやすく読み取りやすく。真理に至る道が足取り軽やかに歩めるような舗装路な筈はないと百も承知だけれど、脳みその含有量の少ない僕のような人間には道元の思想や曹洞禅の真髄のほんの一端でも掴めたような気にさせてくれる本書はとてもありがたい。迷いの中に悟りあり。悟りの中に迷いあり。己の存在を基本にして世界を掴もうとしているうちはきっと全ては手をすり抜けていく。今自分が立つ世界を、そして自分自身の在り方を視点を変えて眺めるのはとても重要なことだ。2018/04/02
LIFE SHIFT AI
7
今年の1冊目は道元の正法眼蔵(新訳) コンパクトにまとめられているので、道元の教えを学ぶ入門書としてはわかりやすかった。2015/01/02
hiyu
6
より平易に書いてあることと思うのだが、読んで思ったのがユング的な部分があるのかということ。漠然としたものなのだが、このような表現も自身の心境を示しているか悩ましい。何度か読んでもしかしたらという思いが出てくれればありがたいが。2018/07/08
my
4
福島原子力発電所の所長吉田昌郎さんの愛読書であった正法願蔵をぜひ読みたいと手に取りました。読んでみると非常に難解。そして厳格。読んでいてピンとくるところもあれば立ち止まって考え込む章も。これは一度読んで終わり、ではなく自分の人生経験と照らし合わせながら、何度も読み返す本なのだろう。すべての全宇宙は仏性であり、私達は悟りの中で八大人覚を忘れずに、ゆったり遊べば良い。そのメッセージは生き焦る人生に落ち着きを与えてくれるように思いました。2021/05/05
はちめ
2
大変分かりやすく書いてあるのだが、だからといって道元の思想が理解できるという訳でもないところが難しいところ。繰り返し考える外ないということだと思う。2017/02/09