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内容説明
知りすぎた『年金情報』編集部vs.AIJ投資顧問・・壮絶な情報戦の後、浅川和彦社長は逮捕された。しかし事件はこれで終わりではなかった。突然、厚労省が厚生年金基金制度廃止を決めたのだ。日本の年金制度の一角を占めてきたシステムが消されてしまったことになる。国民の老後を支える年金制度を、この国はどう変えようとしているのか。『年金情報』編集長がAIJ事件の深層と、その背後にある年金官僚の意図を明らかにする
目次
前編 ピエロ(虚像 増殖 因果 疑惑)
後編 宿痾(豹変 罪と罰 前夜 真犯人)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
26
国民が切望する老後の安心を土台から支える年金。しかし、信頼を裏切る運用の悪さ、給付減、基金解散など(8頁)。私らは月4万だとも。一生バイトしろということらしい。年収5千万円(34頁~)。そんな馬鹿な。結論を言えば、AIJ側が年金基金を勧誘する際に提示した運用成績は、すべての年度、大量の水増し、ウソ(47頁)。明朗会計が必須。過半の顧客は契約を維持し続けた。情報は限られており、真偽を確かめようがなかった模様(145頁)。2015/01/12
シュラフ
15
今回のこの本は事件発覚以前からAIJの情報非開示に懸念を示していた年金情報編集者によるもの。事件の分析については年金専門家らしく、単に 主犯の浅川=悪人 といった単純のものではなく、事件のおこった背景として日本経済の低迷による運用環境の悪化⇒年金財政の悪化⇒打開策のない年金基金がAIJにすがらざるをえなかった という状況が分かりやすく書かれている。そして結果的に年金基金制度は廃止となるのだが、事件後のあまりにも早い厚労省の廃止決定について既定路線だったと推察したうえで厚生年金自体の問題にも踏み込んでいる。2015/04/20
kanaoka 56
4
年金制度の本質問題にも切り込んだ良書。本事件は後の企業年金制度の枠組みを大きく揺るがした。企業年金がハイリスク・ハイリターンに導かれ、その多くが失敗した反省が問われることなく、アベノミクスにおいては公的年金において株式運用比率の拡大が目指されている。日本の現状を鑑みてその事自体に反対ではないが、「金融資本主義」と「世代を超えて支えあう」という理念の大きな隔たり、「老後の安心を実現するという制度理念」と「制度を取り巻く関係者の個人利権」とが共存できるのかという問題等、根本的な疑念は晴れない。2015/08/18
gasparl
3
企業年金の運用絡みの詐欺として騒がれたAIJ事件を、年金専門誌編集長が書いたノンフィクションです。AIJ事件の経過を描いた前半、関係者や企業年金ひいては制度そのものの構造の問題点を述べた後半に分かれています。実質これで厚生年金基金の制度はトドメとなった訳ですが、そんなもん実はとっくに終焉みえてただろ、という意図の後には、厚生年金、国民年金そのものもどなたさんかによるおおがかりなさぎなんじゃないの…という何かが読めてとれたり。2014/02/03
shige
3
AIJ事件を中心に描かれています。年金専門誌の編集長による著作と聞いて購入しました。著者が会食中にある弁護士から、「結局、年金制度はリアルじゃないんですよね」と言われ、こたえたという場面が強く印象に残りました。年金基金運用担当も、ファンドも、行政も、加入者も全て「リアル」に感じられなかったからこそ、AIJのような事件が起きたり、一部の運用担当者が責任逃れのような発言を繰り返すのではないか…と思います。2013/08/11