内容説明
「豊かさ」の価値を疑え!
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」の有名な書き出しで始まる『方丈記』。世の中を達観した隠遁者の手による「清貧の文学」は、都の天変地異を記録した「災害の書」であり、また著者自身の人生を振り返る「自分史」でもあった。日本人の美学=“無常”の思想を改めて考える。
※NHKテレビテキスト「100分de名著」待望の保存版!玄侑宗久氏の特別寄稿/新規図版/読書案内などを新たに収載!
目次
はじめに 八百年目のツイート
第1章 知られざる災害文学
第2章 “負け組”長明の人生
第3章 捨ててつかんだ幸せ
第4章 不安の時代の生き方
読書案内
鴨長明略年譜
寄稿 玄侑宗久「風流」の境地へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
28
『方丈記』は災害文学であり、非常に人間くさい世捨て人の本であり、断捨離本のルーツである。災害の部分は新聞記者が現場を取材した報道記事と遜色ない出来だとか。長明が全てを失っていく過程では、もうちょっと頑張ろうよ、と思ってしまったけれど(笑)親族のバックアップなく、有力者からの依頼により執筆したわけでもない『方丈記』が800年後の現在まで残っているのは名著だから。うん、納得。2017/10/23
黒頭巾ちゃん
14
飢饉、火災、地震を機に書かれたものです。父の死により没落した筆者は、「執着せずに孤高に生きることがよい」とします。都会に住めば人との付き合いやもらい火事で煩わしく、物を持てばもっと欲しくなる。独身だと軽く見られ貧しければ恨みがましくなり、頼れば支配されとこの世は生きにくいからです。田舎の庵で独り暮らしをし琵琶で生活します。結局、人は執着せずにおられない。だから、自然に身を任せゆらりと生きていくのです。2016/06/03
双海(ふたみ)
10
「豊かさ」の価値を疑う。徒然草よりも好きかも。2024/09/03
江藤 はるは
7
過去を知ることは、未来を知ること。2020/05/05
ドルーク
7
地位、名誉ある生まれながら、家族と折りが合わず。若くして五度も大災害、飢饉などに見舞われた。後鳥羽上皇に見込まれ、寄人となるも去ることになる。源実朝との和歌談義相手となる話も消えてしまう。自身を「要なきもの」と思ってしまう。どんな場所、仕事でも不安は絶えない。狭い家で、自然に囲まれて、自分のことは自分でするシンプルな暮らしこそが心の平穏(成功者への復讐の意味合い)。しかし、その平穏な暮らしが「執着」になってしまい、それは仏教では「障り」。平穏な暮らしという信念も曲げて深く反省する。コメントへ↓2020/04/15
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