内容説明
悪妻として知られる夏目漱石の妻・鏡子。潔癖症の漱石と、おおらかだが大雑把な鏡子の夫婦生活は、船出から食い違い、英国留学を経て重度の神経症を得た漱石との暮らしは大波に揺れる。鏡子はなぜ悪妻と呼ばれたのか? 二人はどうして別れなかったのか? 余人には窺い知れない夫婦の絆を妻の視点で描く。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
fseigojp
28
『漱石の思い出』の予習用 花柳界が出てこないのが漱石文学の特徴だから読書推薦しやすいのだった 『道草』の妻のヒステリーは多分に漱石自身のことであった 兄嫁とせへの思慕を生涯貫いた夫に対し7人の子をなし一人を夭逝させたが他は立派に育てた妻 2017/02/27
どんちゃんママ
21
男尊女卑の風潮が強い時代であり、漱石が心の病(鬱病、躁鬱病、統合失調症 )だったのではないかと言われていることからして 鏡子に対する漱石の態度は仕方のないことだったのだろうか。そして、漱石の感じる孤独は彼の育ってきた環境故だったのだろうかと思いました。こんな漱石に仕えてきた鏡子さんが愚妻だと私は 思えませんでした。2015/10/10
フジコ
20
漱石夫婦の生涯を妻の目線で書かれた小説。漱石の周辺人物がよくわかり、それぞれの人間関係が興味深い。お嬢様育ちの鏡子が妻として、母親として成長していく過程には、女性特有の複雑な心理描写が細微に描かれていて、幾度もの苦労を乗り越えてく強さとその知恵、楽観的な物事の考え方、受け止め方に感銘を受ける。金之助の晩年、闘病生活を四面楚歌の中で戦い続けた鏡子。夫婦間でのことは夫婦にしかわからない。他人がどうこう言おうとも他人にはわからない。2016/08/13
しーふぉ
18
悪妻と巷で言われている漱石の妻との夫婦生活とはいかなるものだったのか?胃痛と幻聴などの神経症に悩まされ妻や子供にも手を上げる漱石、その一方友人や教え子に対しては親身で頼り甲斐あり慕われている。漱石の作品書かれた当時の状況など知れたのが貴重でした。2017/06/28
たくのみ
15
夫・漱石は、文豪ともてはやされ、弟子たちの面倒見のいい良き教師、多才で客人をもてなす名人。裏では、胃潰瘍、痔瘻、神経衰弱(うつ病?)に苦しみ、DVを抱え、皮肉と冷笑の夫婦とされる。でも、一途な妻の思いをきちんと見ていた漱石。「妻は?」を繰り返した修善寺の大患。作品に投影した家族像に一喜一憂し、泥棒が入っても「あなた、よかったじゃありませんか。小説の題材がまた出来て」という楽天家の鏡子がいたから、漱石の名声も弟子にいい格好もできたのだ。文豪・漱石も夫婦の共同作業のたまもの、と言ったらいい過ぎだろうか。2015/11/10
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