内容説明
15年前の夏休み。ある村の下宿で、住人が一夜にして姿を消した。後には、呪われた館と、ひまわりと、ひとつの死体が残った――。少女をずっと待っていた少年と、大人になった少女の過去を巡る旅が交互に語られるミステリー長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
24
彼らに感情がなかったわけではなく、ただここに信じられるものがなかった、信じてくれるものがなかったから、自分を信じるしかなかったのだと思います。だから待っても待っても、クリュティエの前に太陽は現れなかった───あの15年前の夏からずっと切なさを封じ込めた宝箱を抱えたまま。2014/08/12
すたこ
20
★★★★今の季節にぴったりのタイトルだなぁと思いながら、読み始めた。ちょっと長いかなと感じたけど、よく出来たお話。なんとなく予想してた真相とは程遠く、なんというか切なさでいっぱいのラスト。これがとても良かった!甘酸っぱいような、ほの暗いような。ワクワクするような、ギスギスするような。色んな感情が混ざる本。2020/07/06
yumiDON
19
博物館で働く里名は、企画展のネタを探す内に気になる写真集を見つける。そこにある写真は過去を呼び起こすものだった。写真家を探す里名のパートと交互に「ひまわり荘」と呼ばれるアパートで暮らすコウという少年のパートが描かれる。過去に秘められた謎を追うのだが、いかんせん長い。途中何度かダレてしまったが、最後にはしっかりおとしてあり、驚かされた。読む方は決してあきらめず、読んでみてください。まだデビューしたての作品らしい。人物をもっと魅力的に書けるようになれば、絶対面白くなると思う。2014/11/26
おかむー
13
しっかりとした組み立てと謎解きで実によくできた作品…なのだけれど、ん~、なんだろうなぁこのなんか足りない感は。『可もなし不可もなし』。文中の表現を借りるなら「もうひとつ、心が感じられないんだな」か。上手な組み立てされてるがゆえに、すべての要素が組み立てのためのパーツとして配置されている印象。ボリュームに対して謎解き部分が詰め込みすぎなのもいまひとつ。そこへ至るまでがちと長すぎて肝心のところに差し掛かっても「あぁそうなのそうですか」になってしもーた。惜しかったねぇ2013/12/27
カナナ
4
あのラストの、あの彼の一言で真実が分かったときの衝撃‼物凄く心臓が痛かった。私の推測をはるかに超えた悲劇。久びさにどんでん返しでもだえました。学者肌で薄い唇で憎まれ口叩きつつ優しい沼田くんがかなり私のツボで、本筋のストーリーとはまた別に楽しめた、二度美味しい小説だった。子どもとヒマワリと夏休みモノは、ハズレがないなぁ。2013/08/26