内容説明
巨大公共放送局で三流部署ディレクターから名実ともにNo.1プロデューサーにのし上がった男がいた。手掛けた「チャレンジX」は視聴率20%超の国民的番組となり、特別職に誰よりも早く抜擢される。しかし、天皇と呼ばれる会長が失権すると事態は一転し……。組織内部に渦巻く野望と嫉妬を、元NHK看板プロデューサーが描ききった問題小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遅筆堂
21
未だにマスコミの方々とはお付き合いがあるし、あることを某会長にお願いをしたこともあるのだが、その実態となるとそれぞれでマスコミ=悪という構造は必ずしも事実ではない。しかしながら、この小説にあるように権力構造とマスコミの頂点、上から目線的な、あるいは広告料をとらない官僚的構造はある。著者の出身からして事実ではないかと思ってしまうほどリアルであるが、小説としても充分楽しめる。白い巨塔を思い出したが解説でも触れられていて納得。実に面白い寝不足を引き起こす逸品。2013/08/08
うろん
8
赤い追跡を先に読んで失敗した。こちらが先だったのか。西が入社当時から不遇をかこつていたのはよくわかったが、やはり、キャラクターが強烈すぎる。某放送局の実話を基にしていることがよくわかるだけに、今井彰さんも、こういうキャラクターの方なのかと、つい思ってしまいます。2016/06/25
しんこい
6
赤い追跡者が面白かったので、前作を手にとりました。湾岸戦争を舞台にしたドキュメンタリー制作の話に迫力あるものの、それを上回るような組織内部の抗争や嫉妬による妨害のすさまじさにげんなりするくらい。作者も自分の中で昇華できていない感じすらしました。2013/09/10
fukafkacraft
4
固有名詞は変えてあるがプロジェクトXで活躍した著者自身の自伝的ノンフィクション。かなり面白くプロ作家なみに文が上手い。読みやすく緊張感も持続する。冒頭から心に響くエピソードも多い。前半は僅かな頁で何度も感動を誘われるが、後半は著者の一方的な被害者意識が鼻につく。敵ばかりの中で大変な思いをしたようだが、組織の中で目立つ者の宿命。味方が1人もいない経営者だって沢山いるんだから甘ったれてる。自身を俯瞰して見ることが出来たら嫌われずに済んだかも知れないし、作品としてもっと奥行きが出たと思う。2018/05/18
green
4
ほぼノンフィクションととらえて読んだ。あの番組が最後、なんとなく終了してしまったこと、公共放送がいろいろな不祥事などで世間にたたかれれいたことなどの記憶がよみがえる。とても面白く読んだが、読後感は最悪。こんな体質の公共放送に税金を投入しているのか、また、志高かった作者が最後、こういった形でしか実情を表現することができなかったのか。雑誌・週刊誌・マスコミの取材・記事に対しても改めて嫌悪感をあおられた。2015/05/10
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