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内容説明
向学心に燃えて故郷長野を飛び出したが、志を果たせず下級官吏になった高野辰之。鳥取県の没落士族の家に生まれ飢餓線上を彷徨うが、教会で賛美歌に出会い音楽の道を進んだ岡野貞一。二人は「故郷」「春の小川」「朧月夜」等多くの文部省唱歌を生み出していく。明治の「夢」を浮き彫りにした群像劇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
34
文庫で再読。タイトル通りの唱歌をめぐる話を、もっと読みたかった。現在明らかになっている事柄が少ないために、作詞・作曲の事情も、この程度が述べられる限界なのだろうか。あのメロディを生んだ岡野についてもっと知りたいのだが、高野ほどの波乱に満ちたエピソードはなさそう。初読時の記憶になかった、四・七過剰な曲というのは、岡野の音楽上の格闘として、印象に残る。2018/02/06
ころこ
16
『故郷』『朧月夜』『紅葉』などの唱歌は、戦前作詞作曲が伏せられていました。近年になって、作詞高野辰之・作曲岡野貞一と分かります。本書は彼らの生涯と、その中でみえてくる唱歌誕生の経緯について追います。戦前における近代国家の統合の象徴として、学校で教えられたものに教育勅語がありましたが、直接的な表現が戦後日本で忌避され、今やタブー視されています。他方、唱歌は一見ふるさとの情景を何気なく謳っているようにみえますが、本書にある通り非常に人工的につくられていました。近代国家の枠組みを意識した田舎→都会という歌詞や、2018/02/06
うたまる
3
文部省唱歌誕生の謎を追いながら、明治末期から昭和初期までの時代を描くノンフィクション。『故郷』『朧月夜』『紅葉』『春の小川』『桃太郎』『春が来た』、みんな知っている。歌詞もメロディも憶えている。しかし、これら唱歌の作詞・作曲者名が非公表だったのは知らなかった。本書は著者の取材過程そのものを叙述しながら、唱歌誕生の経緯、著作者の生い立ち、讃美歌の影響、新体詩と国粋主義の融合、作風に対する批判などを紐解いていく。確かに唱歌は戦争の時代と切り離せないようだ。今聴いてみても、そんな気配など一切感じないけれど。2018/01/24
Eiji Nanba
1
電子書籍版で読了。高野辰之、岡野貞一といえば「故郷」をはじめとする文部省唱歌に欠くことのできない名コンビ。所属する教員オケでもたびたび使わせてもらっている。彼らの生きざまに初めて触れた気がしました。2017/02/13
ふみ
1
猪瀬さんが探偵役の推理小説を読んでいるようだった。作者不明の唱歌の裏にも物語はあるのです。2015/12/12
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