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内容説明
本書は、美術を生み出し、求めるときの様々な欲望に光を当て、美術というものをいろいろな観点から眺めたエッセイ集である。扱った作品は、世界的な名作から、通常は美術とは目されない特殊なものまで様々だが、いずれも美術史上の重要な問題につながると思っている。(「まえがき」より)「欲望とモラル」「美術の原点」「自己と他者」「信仰、破壊、創造」という四つの観点から、「美が生まれる瞬間」を探る。<オールカラー>
目次
第1章 欲望とモラル(食欲の罠 愛欲の果てに 金銭への執着 ほか)
第2章 美術の原点(空間恐怖 ミニマル・アートの禁欲と豊饒 作品と展示空間 ほか)
第3章 自己と他者(「私」に向き合う 芸術としての刺青 集団肖像画の魅惑 ほか)
第4章 信仰、破壊、創造(「母なるもの」と聖母像 保守か前衛か 美術と戦争 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
374
『欲望の美術史』というタイトルが付されているが、第1章こそ「食欲」や「愛欲」などがトピックスになっているものの、以下の章ではかならずしもそうではない。これまでとはちょっと違った美術作品へのアプローチの仕方であるとか、従来の美術史ではあまり語られてこなかったもの、例えば「刺青」や「土佐・絵金の芝居絵」などを取り上げている。各トピックスは短く分量はコラム程度なのだが、美術作品及び鑑賞を考える端緒としては大いに啓発されるものがある。17世紀のハイスブレヒツなどは、まるで現代美術という驚きも。2020/12/31
ハイランド
71
煽情的なタイトル。初めは「欲望とモラル」というテーマで、タイトル通り欲望と美術の関係が論じられているが、やがて「美術の原点」「自己と他者」「信仰、破壊、創造」と内省的なテーマへ移行し、全体を通してみれば、美術の創作の動機を探る一冊となっている。古今東西の名画彫刻建築が紹介されており、斬新な切り口と鮮やかな解説で読者の美術への好奇心をあおってくれる。美術の歴史が破壊にありと感じた。文字通りの破壊であったり、タブーへの挑戦であったり、先人の否定だったり。けしてタイトルにひかれて手に取った訳では、げふんげふん。2016/12/03
夏
26
産経新聞夕刊の連載の加筆修正版。28編の美術エッセイ。エッセイとは言うものの内容は濃く、けれど美術書というには少し軽いかもしれない。初心者には楽しめるかもしれないが玄人にはどうなのだろう。わたしは十分楽しむことができた。絵がオールカラーなので、美しい絵をいくつも目にすることができる。この本を見て、見たい絵画を探すのもいいかもしれない。ボルハのキリスト像が修復され見るも無惨な姿になったことは有名だが、修復前より修復後の方が人気で観光客が訪れるようになったことは知らなかった。そんなに人気なら見てみるべきかな。2024/12/12
どんぐり
26
第1章「欲望とモラル」(食欲や金銭欲、性欲や見栄といった人間の基本的な欲望を表現した美術について)、第2章「美術の原点」(装飾や空間、あるいは追悼の会など美術が生まれる原点について)、第3章「自己と他者」(プライドや競争心といった作り手の意識や政治性の問題について)、第4章「信仰、破壊、創造」(芸術が芸術をどうとらえるか、そして芸術への破壊衝動について)。知識の安売りで、どこかで読んだ内容だが、作品がカラーで載っているからよしとしょう。2014/04/28
Y
24
本書は、欲望という観点を通して美術を紐解いている。誰でも一度は見たことのあるような有名な芸術作品から、長年スポットライトの当てられることのなかった民衆の美術にまで言及している。美術に全く詳しくない者にとってかなりとっつきやすく、本書をパラパラめくるだけで楽しめる。けれど少々物足りなさを感じた。2013/09/06
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