内容説明
ミノル、俺たちのやりたかったことはこんなことだったのかな――二十七機撃墜・味方損失ゼロ、奇跡の初空戦を指揮した進藤三郎。敗色濃い南太平洋でなおも完勝を続けた鈴木實。二人の飛行隊長の人生を縦糸に、元零戦搭乗員一二四名へ未踏の二〇〇〇時間インタビューを横糸にして織り上げた、畢生のノンフィクション! (講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
シブ吉
93
かつて日本には「零戦」という飛行機があった。戦後五十年の節目に日本の空を飛んだ「零戦」を見上げる元・零戦搭乗員たちと会話を交わしたことがきっかけで、戦闘機乗りの戦中、戦後の人生に興味を持った筆者が、元搭乗員百二十四人から得た体験談を元に綴った本書。華々しい初陣から時を経て、変わり行く空戦模様や戦況の悪化から、もはや命令を超え「特攻兵器」となっていく零戦の姿。終戦後も長い間「沈黙」を守っていた零戦搭乗員たちの「生き残った者」としての苦悩や葛藤を含め、多大な犠牲の上に「現在」が有る事を改めて思わされました。2014/07/20
佳乃
36
戦中・戦後の零戦搭乗員たちの話。どれほどの沈黙を守りぬいているか、どれほどの苦しみがあったか計り知れない。そして、その時代があったからこそ、今の日本があることを忘れてはならない。2015/05/21
koba
29
★★★☆☆2013/11/03
SORA
22
長く口を閉ざしていた元零戦搭乗員の方々のインタビューを元に、戦中・戦後の歩みをまとめた本。半世紀以上が過ぎ、お祖父さんとなっても悔恨や心の傷が癒えない戦争経験というのは計り知れない重みがあるのだと感じる。企業の取締役を退任し、これまでの人生を振り返って思うのは、「自分の人生はむなしい」と言った進藤氏の言葉が胸に残った。2015/11/07
takam
15
元零戦乗りたちが語る大東亜戦争。最初から勝てるとは思っていない戦争に身を投じることの葛藤であったり、仲間を失う悲しさ、同僚が特攻に挑む前の嘆き、様々な感情が描かれる。生き残った彼らは「死にきれなかった」という言葉を共有して戦後に死んだ戦友たちの分も生き残る。戦後は重役を務めた人が多い点にも、日本陸海軍のリーダ養成の仕組みは高度だったのだと思う。2020/04/26




