内容説明
従来の日本中世史の常識を打ち破る明快な分析でこの時代の本質を明らかにし、これまでにない「わかりやすくて面白い」中世史を詳らかにしていく。
目次
第1章 大唐帝国の終焉と中世日本の始まり(平安・鎌倉・室町時代は究極の「小さな政府」の時代 平安遷都と東北経営で国の形をつくった桓武天皇(桓武~平城) ほか)
第2章 『源氏物語』と『平家物語』を政治史として見る(天皇よりも関白よりも強力な天皇の生母(冷泉~一条)
「皇后陛下」は明治になって始まった西洋式制度(三条~後三条) ほか)
第3章 京都の論理と関東の不満が正面衝突(「平家追討の令旨」が勘違いから大事件に(後鳥羽1)
京都人だった源頼朝と関東武士の微妙な関係(後鳥羽2) ほか)
第4章 後醍醐天皇の夢を足利義満が完成した(建武の中興はどこが間違っていたのか(後醍醐)
親鸞と日野富子を出した日野家の女性たち(後村上&北朝) ほか)
第5章 外交と宗教から見た中世日本を総括する(比叡山の僧兵が強かった本当の理由 浄土真宗や日蓮宗は戦国時代になって発展した ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
林 一歩
25
歴史は好きで、ただ幕末とか戦国時代よりは鎌倉や室町のドロドロした暗黒時代が好み。そんな意味では、著者に対して『分かってらっしゃる』と言いたい。それ以外の言葉は無いけれど。2014/04/07
巨峰
25
平安遷都直後から室町時代の終焉まで、著者が中世とみなした日本史をわかりやすく読み解いた本。まあ、時代の範囲が大きいのでもう少し突っ込んでほしいところもあるけど、意外な、でも理解できる論説もあり楽しかった。ただ、外交史に関しては昨今の日中・日韓関係を絡めて何らかの示唆をしようとしておりすこし気持ち悪いとおもた。2013/04/18
maito/まいと
14
うーん、ちょっとインパクト狙いすぎた感のある1冊。日本中世史の勘所は「つまらない」とか「難しい」より「ややこしい」所にある。日本史上地味だけど確実に起こった社会変動。但し血筋や二重権力構造、同族争いなどなど、とにかくややこしいのがこの時代。だから「わかりやすさ」を基軸にしたらもっと良かったのに。通説を疑い、史料を基準に中世史を再考する姿勢は流石だと思うけど、構成がバラバラで日本中世史の解説本程度の印象しか残らないんだよなあ。読み物としてはおもしろいけど(笑)2013/12/17
スプリント
10
いろいろ情報を詰め込みすぎて読みにくくなっているところが残念ですが、コラムで差し込まれている各エピソードが発生したときの世界情勢(勢力図)が一番参考になった。2024/05/17
金監禾重
7
構成がかなり悪い。天皇表、系図をぶつ切りにして書中に分散しているので、見たくなった時に探すのに苦労する。巻末にでもまとめるのが一番だ。本文はあくまでも天皇・公家衆を軸に古代末から足利義満頃までを扱い新鮮だったが、特に中世前半はほとんど人名の列挙に終始する部分もあり、多作の著者に期待したほど読みやすくはなかった。中世前半は著者本人も面白いと思っていないのではないか。2020/08/12