内容説明
母親と二人で東京に住む小学生のハヤトは、同じ団地のトンダじいさんから「一生に一度のお願い」を預かる。それは古いオルゴールを鹿児島に届けること。福知山線の事故現場、広島の原爆ドーム、父さんの再婚とお腹の大きな女の人――出会うものすべてに価値観を揺さぶられながら、少年は旅を続けていく。直木賞作家が紡ぎ出す心温まる成長物語。親が子どもに読ませたい本。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
116
小学生のハヤトは同じ団地に住んでいるおじいさんから、古いオルゴールを鹿児島に届けるように依頼される。おじいさんが支払ってくれたお金目当てに依頼を引き受けたのだったが、旅に出ていろいろな人と出会うことで、大人に一歩近づく。素晴らしい小説。最後は涙がこぼれた。この小説は痛みを抱えながらも誠実に生きている人たちに対する応援歌という面があり、それがハヤトの成長と結びついている。福知山線の事故、原爆、戦争といった重い話題をさりげなく取り入れる手際は見事。こういう物語に出会えるので、小説を読むのをやめられないのだ。2015/01/18
相田うえお
99
★★★★☆20038【オルゴォル (朱川 湊人さん)】近所の爺さんから、鹿児島に居るであろう人を探し出して、このオルゴールを届けて欲しい、という約束をした少年が主人公。少年は約束したものの、断りたくなるんですが爺さんは約束した後、急病で亡くなってしまうんです。断る事が出来なくなってしまって..と流れていく話です。舞台となる東京、大阪、広島、鹿児島のうち、特に大阪は関東圏の人間には気になってしまう話題がたっぷり!各家庭にたこ焼き器がある?お好み焼きをオカズに御飯を食べる?エスカレーターの追い越しは東京と逆!2020/04/04
dr2006
62
本作は、朱川さんの真骨頂昭和ノスタルジは影を潜め、今どき小学生ハヤトの成長の物語だ。ハヤトは高齢化と過疎が進む東京郊外の団地に母と二人で住んでいる。ある日団地内で顔見知りの老人から、鹿児島に住む女性に古いオルゴォルを届けて欲しいと頼まれる。正確な住所が解らず郵送は出来ないし自分にはもう遠くへ行く体力が無いと云う。ハヤトは大阪で離れて住む父を頼りに独り旅立つ。ロードムービー的な構成の中でハヤトに関わる大人達が皆気風が良く、副題となっている日本近代史への理解も得られた。未来へ向かうベクトルが前向きで清々しい。2021/09/06
馨
60
一気に読みました。オルゴールを鹿児島まで、年老いたじいさんの頼み。で、「あ、特攻隊だったんだな」と少しピンときましたが、少し捻りがありました。出来ればハヤトに長崎も行って、どう感じたか描いてほしかったです。広島原爆ドームのくだりは、こちらまで資料館に一緒に入った気になり、悲しくなりました。知覧の描写ももう少しあれば良かったな。相変わらず朱川さんの小説は読みやすいし読後心が温まりますね。2013/07/15
NADIA
56
昭和のノルスタジーとはまた違うが、懐かしく温かい物語。足立区辺りの公団に住む小学4年生の少年が、同じ公団に住む顔見知りの老人から鹿児島までオルゴールを届ける依頼を受ける。老人は孤独死し、少年は春休みに両親の離婚のため離れて暮らす父親を訪ねて大阪に。その後成り行きで鹿児島に向かうことになる。ジャンルとしては児童書なのかもしれないが、大人の私が読んでも、いや大人だからこそ刺さる部分も多く、また大人となった今では普通にこなせる些細なことが、子供にとっては大冒険だったこと、とても懐かしく思い出せた。2021/11/19
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