内容説明
冷え込んだ江戸の景気を救ったのは、一商人が始めた弁当屋――未曾有の不景気に見舞われた寛政の江戸。大店「特撰堂」の次男・裕治郎は実家を離れ、弁当屋を始める。客を思い、取引相手に真を尽くす裕治郎の商いは普請場の職人の評判をとり、火消しを走らせ、武家と町人を結び、やがて途方もなく大きく育ってゆく……。安くて美味いもので人は元気になる! 経済エンタテインメント小説。2008年10月~2009年11月、「日本経済新聞」夕刊に連載。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫綺
82
分厚い単行本にて読了。時代背景の説明がくどい様に思う。握り飯弁当宅配屋起業のところは、とても面白く読めた。2013/09/26
つねじろう
47
出て来るよ、好い男ゴロゴロと。「大きな事を言うようですが、命がけで生きておりやすと、命がけで生きてる人とそうじゃねえ者との見分けがつくようになりやす。」そうこれはそういう人達の物語。商人気質と職人気質、心意気にゃ心意気、矜恃と矜恃のぶつかり合い、男が惚れる男振りを相変わらずの名調子で語る。後半は少し話しが膨らみ過ぎた感はあるけど、自分も好い男になった気持ちで読み終わりました。2013/06/05
ドナルド@灯れ松明の火
25
遠ざかっていた一力を久し振りに読んだ。相変わらず出だしは札差の説明と棄捐令がいかに武士も庶民も苦しめたかの説明でくどい。時代背景をうまく簡潔に読者に提示しなきゃいかんでしょ。各賞審査員として調べた事をそのまま書くなと言っているが本人はどうよ!それはさておき、大きな商家の次男坊が普請場や漁師たちへのお弁当売りを思いつき、それが火の見櫓で不寝番を続ける江戸火消達へのお弁当配達へと繋がっていく。このあたりの人と人との信頼、商いの基本、障害の乗り越え方などすいすい読めてしかも感動すら感じさせるところは流石である。2013/06/21
ミホ
15
江戸市井の人たち皆が、それぞれの役割を担って事を動かしていく、働く庶民の心意気が粋でいなせなお話でした。たくさんの登場人物が出てくる中で、主人公の兄であり、大店「特選堂」の五代目当主が魅力的。大店に求められる世の中での役どころを何があっても踏ん張って全うする、揺らぐことのない志に魅せられました。2013/11/29
鈴木みかん
13
読み終えた後にスカッとする山本一力さんの長編。努力のあとの笑顔っていうのは、やっぱりいいものだわ。元気が出る!2016/06/07