内容説明
混迷した中世の闇の中から躍り出て、近世への扉を抉じ開けた男――。織田信長は、当時の人々の間に滲透していた「陰陽道」を光源として己れを律し切り、「天下を正す」ことに生涯をかけた希代の陰陽師だった!戦国時代には、古代中国の陰陽五行説をもとに日本独自の発展を遂げた陰陽道が、合戦にも用いられるようになっていた。信長が桶狭間で今川義元を倒すことができたのは、陰陽道で義元の進路を読めたからである。足利義栄・武田信玄・上杉謙信らが道半ばで斃れた陰にも、信長の強力な呪力による「呪詛返し」があったのだ。絢爛豪華な安土城でさえ、比叡山焼討ちや一向一揆討伐で非業の死を遂げた者たちの無念が怨霊と化し、数々の災厄を為すのを防ぐための呪詛的浄化装置として建設されたのである。天下布武に命をかけた信長の、「桶狭間の戦い」から「本能寺の変」までの波瀾万丈の生きざまを、ドラマチックに描ききった歴史エンターテインメント長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
めぐみこ
1
桶狭間クライマックスから本能寺の変までの信長の半生。色々な信長を読んできたけど、歌って踊って真言唱えるパターンは初遭遇。沢彦和尚が島津の生き残りだったり、帰蝶が余所に嫁ぎ吉乃が正室だったり、驚きの人間関係。中でも土田御前と仲良しなのは目が飛び出る。一見秀吉の一人勝ちだけど、実は岡部又右衛門の方が幸せな生涯だったりして…?2016/07/28
たかむら
0
タイトルにあるところから、信長が陰陽師としてどのように活躍するのかと期待して読み進めてみたが、あまり陰陽師としての活躍はなく、かなり期待外れ。陰陽五行の他、九字を切ったりする一方で、なぜか法華経を唱えたりと統一感が無い。まさしくソレっぽいものを並べてみたという感じではあるものの、陰陽師としてはどうなのかと言う気もする。中途半端に知識を並べて失敗しているような感じすらした。信長と陰陽師という組み合わせ自体にも真新しさが感じられず、考証も甘い。なんとなくソレっぽいもので充分という人向け。2013/09/22
みゆう
0
雅な文章で血生臭くないので新、信長と言えるし、お市が養女だったり、帰蝶とは結婚していなくて正室が吉乃でしかも母親と仲がよかったりだとしたら信長は弟を殺していないのか??それとも戦国の世だから仕方ないと母親は信長を許したのだろうか。吉乃のおかげ?? 自分の知っている事柄と少し違うので読みきれず返却。 また仕事が落ち着いたら借りることにする2024/01/30