叛逆 - マルチチュードの民主主義宣言

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叛逆 - マルチチュードの民主主義宣言

  • ISBN:9784140912034

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内容説明

ウォール街占拠から脱原発デモまで
目指すべきものは何か?

2010年代初頭、「アラブの春」に始まる直接抗議運動が世界中に広がった。専制的な政府、強欲な金融業界、民意を無視する政治に対して立ち上がり、支配体制を揺さぶった人びとこそ「マルチチュード」である。かれらが見せた新しいヴィジョンとは何か? 代議制の機能不全はどう克服されるのか? 〈帝国〉論で絶対的民主主義を説いた論者が、満を持して放つ具体的提言の書。

目次

序 闘争の始まり―バトンを引き継げ!
第1章 危機が生みだした主体形象(借金を負わされた者 メディアに繋ぎとめられた者 セキュリティに縛りつけられた者 代表された者)
第2章 危機への叛逆(借金をひっくり返せ 真理を作り出せ 逃走し、自由になれ 自らを構成せよ)
第3章 “共”を構成する(諸原理の宣言 構成的闘争とは何か “共”の構成のための実例 新たな三権分立のためのアジェンダ 次なる闘争へ―共民の出来事)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ころこ

36
雰囲気だけで書かれたという印象を持ちます。当時のフェーズは変わったということで、アラブの春をはじめとしたストリートの思想は、一旦は潰えたということなのでしょう。本書に正当性があるとすれば、この歴史を継いでいくということになりますが、本書では負債を棒引きしようという主張と代表制を廃止しようという主張がなされています。多分、資本主義でなくても負債は生じるはずで、負債を無効化するのは歴史を無効化することと同義になるのではないか。また、代表がいないというのは市民側の責任の所在が曖昧になるのではないかと思いました。2021/05/04

みねたか@

32
斎藤氏の対談集「未来への大分岐」の関連。スペイン5.15運動、アラブの春そしてウォール街占拠。2011年に連鎖的に発生した諸運動。密接した空間の中皮膚感覚で育まれる思考、誰もがコミュニケーションをリードするオープンでフラットな活動。本書ではこれらをポスト資本主義社会の新たな意思決定モデルの萌芽と位置づけ、来るべき歴史の転換に向けた準備を勧めよとアジっている。しかしこの10年のアラブやアメリカの歩みを振り返ると、歴史の転換がそう簡単に実現するものではないとあらためて実感する。2021/07/19

パラ野

10
地中海沿岸の諸国家や、旧東欧圏で起こっていることを俯瞰するのにはいいかもしれない。地中海と言っても、一部の国々は泥沼になってしまいましたが。どこかの国でデモが起こり、警察がプロテスターを殴ったのならば、その画像が拡散されて、ギリシャで抗議集会が起こったり、Twitter上で連携したり。そんでもって、イタリアのデモはすごく激しい。連帯して身体を新しい民主主義に参入させようというパンフレットのような本ですが、日本ではかなり不可能かなと。労働の概念に面白いのあった。2014/08/12

大ふへん者

6
ネグリの邦訳最新刊。<帝国>三部作で示された問題提起と抵抗拠点=手段としてのマルチチュードの可能性について、「アラブの春以降」の展開も抑えつつ、いよいよ本格的・具体的な方法論を与えてもらえるかと期待したが、正直期待外れだった。帯には「代議制を否定せよ」「待望の具体的提言」などと書かれているが、私の求める回答は得れていない。こうなれば私たちの世代(平成生まれ世代)で理論化、具体化してやろうではないかという大それた勇気が沸いてくる。個人的にはテクノロジーがマルチチュード理論を先行する予感がある。2013/11/16

またの名

5
借金を返すために何十年も経済活動に身をやつし、ドゥルーズが嫌悪したオピニオン垂れ流しのメディアを呆けた顔で眺め、恐怖を煽られて檻のこちらとあちら側のどっちが囚人なのか区別のつかない相互監視に進んで自らを差し出すしかない社会で、代議制を信じることなどできない!と激昂して2011年のオキュパイ・ウォールストリートやアラブの春を讃えるのだけど、リーダーによる統率なきマルチチュードが如何に対抗権力たりうるかはやはり不透明。ネオリベ的な小さな国家の福祉削減が軍事・法律・事業の拡大で結局予算増になってるって話ガチか。2013/08/12

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