内容説明
湘南・葉山のかたすみにひっそりと佇む、隠れ家のような一軒のホテル。強い風をさけて身を寄せ合うカモメたちのように、ひっそりとこのホテルを訪れる客人たち。彼らの心に秘められた、謎と事件とは――? 若き女性オーナー・美咲が彼らの秘密を解きほぐします。等身大な大人の恋愛と人生模様を描き、心に響く連作短編小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
86
湘南は葉山のかたすみにひっそりとたたずむ、とある一軒のホテルを舞台に繰り広げられる恋愛&人間ドラマの連作短編作品です。若き女性オーナー「美咲」が経営するこちらの海辺のホテルを訪れるちょっとワケありな雰囲気の客たち。偽名を名乗り、誰がを待っている様子の謎のカメラマン、大会真っ最中にもかかわらず、欠場して訪れたゴルファー、三十代半ばの女性とアメリカ人青年の年の差カップル。彼らにはそれぞれ、ココロに秘められた謎があり、ちょっとした事件にも発展します。人の再生は何かのキッカケで起きて、新たな旅立ちを迎えますね。2024/06/11
Shoji
31
葉山の隠れた場所にある小さなホテルを舞台にした短編連作集です。居心地の良さと隠れ家的雰囲気に惹かれて、訳ありのお客さんが訪れます。しかも、心に傷を持ったお客さんばかり。経営者の美咲と使用人のマイのホスピタリティが、お客さんの傷心を再生していきます。普通に書けばドロドロした人間模様だろう筈が、湘南の海のようにさわやかテイストな物語に仕上がっています。面白かったです。2024/08/20
まさきち
20
すごく心に染み入ってくる物語。でもいかんせん読点が変なところに多すぎて読みづらいのが難点かと・・・2013/07/31
ゆう
12
かなり久しぶりの喜多嶋作品。父の後を継ぎ、湘南でホテルを経営している美咲と、そのホテルに泊まるわけありな客達の連作短編。「わけあり」部分が切ないのに穏やかな気持ちになれる、そんな読了感でした。センチメンタル。私は喜多嶋作品のなかでも割りと好きです。2013/10/24
来未
10
あとがきに「大人のための青春小説」とある。読了後、とてもすっきりした気分だった。3つの短編集。走り続けたスクープカメラマン…悩めるプロゴルファー…純粋無垢な年の差カップル…読んでいてなんとなく結末が読めてくる部分もあるけど読み終わって嫌な感じがしない。そんな作品でした。それぞれの物語の主人公たちの心の動きがなんとなく理解できるのも自分が大人である証拠なのかなとも思う。 そして、物語の舞台になる「葉山一色ホテル」は、今まで走り続けてきた大人がほっと一息つける場所。そんな所でゆっくりしたいなと思うのでした。2021/04/26