内容説明
1987年の民主化以降、経済的にも政治的にも急速に存在感を増した韓国。いっぽうで現職大統領の竹島上陸など「突飛な行動をとる不可解な国」という印象を持つ人も多い。しかし、韓国の政治はじつにわかりやすいルールの下で動いている。韓国の〈政治ゲーム〉を体現するような戦略家・朴槿恵大統領誕生の経緯を検証しつつ、膠着化した竹島領有権問題、慰安婦問題への適切な対処法を提言する。
目次
第1章 戦略家としての朴槿恵大統領(先読みし、逆算してきた朴槿恵 戦略を立てやすい韓国政治のシステム 戦略家・朴槿恵の誕生 朴時代の韓国へのアプローチ)
第2章 大統領選挙にみる韓国社会の変化(老若男女が投票した大統領選挙 なぜ朴が勝ったか 朴大統領の課題)
第3章 竹島問題に“悪魔の代弁人”を立てよ(領有権紛争は国際法廷へ? 「独島イン・ザ・ハーグ」 日韓それぞれの“論理”)
第4章 慰安婦問題は国際社会を意識せよ(日韓の温度差 韓国における法の支配 普遍的な人権問題へ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ntahima
33
前回の大統領選挙時はソウルにいた。遅すぎる留学の為か知合いの韓国人と言えば一回り二回り下が基本だった。彼等彼女等の声やツイタ―に流れてくる140文字の呟きを見る限り政権交代は間近に迫っているように思えた。その後ネット空間に漂っていた虚脱感は今も覚えている。この本を読んで負けるべくして負けたことがよく分かった。第四章の憲法裁判所の話も興味深い。但、ひとつだけ。二年近くも前に出版された本に今の知識でコメントするのはフェア―ではないが、あの熱い冬を勝ち抜いた“したたかな戦略家”は何処に行ったのだろう?続編希望!2014/12/09
しんたろう
6
極めて感情的な韓国の反日政策の裏に隠れる緻密で計画的な戦略を解説し、今後の対韓国政策に一考を促している本。竹島問題のハーグ附託を拒否しながら密かに準備を進めたり、慰安婦問題でも日本に対しては日韓基本条約を意識し賠償を直接要求せず謝罪を主たる要求とする裏で、米国下院を始めとした各国議会や国連等国際機関に人権問題として被害者救済まで盛り込ませる戦略のしたたかさは普段の狂気的反日デモを軽蔑する事に変に慣れきた心理に冷や水を浴びせかけられた。日韓問題をクールに考え直すきっかけの一冊として良書と思えます。2014/02/11
がんぞ
6
対峙する隣国を嘘吐きとか感情的で損得弁えないとか見下すよりは『したたか』と仮定し、約束破りとか裏切りと愚痴るよりあらゆる行動に適切な対処を準備すべきだが/韓国の憲法裁判所というのは、選挙で選ばれないが大統領と国会との仲裁をするもので、ノムヒョンの弾劾を取り消した。国民感情を代表するものとされるが、法理より感情で遡及法まで実施し親日子孫の財産没収する国では/日本に呑めるような要求でなければ意味なく、妥協を自国民に納得させるのが為政者の務めのはずだが。右翼(親米)左翼(親北)の共通点が反日のみの現状2013/10/22
Empirestar
4
韓国国内の内情を説明しながら、国内外に対する韓国の戦略を資料やデータをもとに客観的に説明。シルバー民主主義に突入した韓国においては、世代間格差の問題が日本以上に重くのしかかっており、朴大統領もかじ取りを間違えると大変なことになるということがわかる。竹島の領有権の問題においても、ICJに提訴した際に「日本の弁護ができるレベル」に論駁できる対策(悪魔の代弁人)を戦略的に考えている。慰安婦問題についても女性の人権問題という普遍的な形に昇華させ、問題の構造を変えてしまった。日本も戦略的に動く必要があるだろう。2013/09/01
takizawa
4
韓国大統領選、少子高齢化、日韓領土問題、従軍慰安婦といった4つの身近なテーマを切り口に韓国について論じた本。物事を多面的に眺める視点を得ることで韓国への理解を深められる良書。韓国に対するスマートな戦略家というイメージは新しい。2013/06/11