内容説明
バシンデール団地、通称アシッド・ロウ。教育程度が低く、ドラッグが蔓延し、争いが日常茶飯事の場所。そこに引っ越してきたばかりの老人と息子は、小児性愛者だと疑われていた。ふたりを排除しようとする抗議デモは、彼らが以前住んでいた街で十歳の少女が失踪したのをきっかけに、暴動へと発展する。団地をバリケードで封鎖し、石と火焔瓶で武装した二千人の群衆が彼らに襲いかかる。往診のため団地を訪れていた医師のソフィーは、暴徒に襲撃された親子に監禁されてしまい……。血と暴力に満ちた緊迫の一日を描く、英国ミステリの女王の新境地。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
379
巷に溢れるパニック物に終わらず、紙一重で現代英国ミステリになり得ている。ずいぶん前から興味あったのに後回しにしていた作品で、あらすじからは、それこそ団地が狂気の渦に飲み込まれて死屍累々と化す…みたいな想像をしていた。しかし、死者は三名であることが早々に明かされ、発端になった小児性愛者も、テンプレなサイコパスでもなく地味。フェイの軽口がじわりと拡散していく様など、些細な悪意が積み重なっている感が妙に上手く読ませる。そこに同時進行の少女誘拐事件が絡む訳だが、そこはそれほど上手く絡んでいなかったような。2019/01/31
遥かなる想い
191
2014年このミス海外部門2位。 下層民地域で発生した暴動の 背景に潜む小児性愛嗜好者の偏見等、 現代社会の病巣をミステリータッチに 描く。鬱積した不満の 矛先が集団の弱者に向かう流れは 正直怖い。 そして、失踪したとされるエイミーを 巡る複雑な人間関係・・いくつもに 張り巡らされた伏線が繋がり、 解決へと向かうが…なぜか心は 晴れない。 現代英国ミステリー界の女王は 何を描こうとしたのか・・ 集団リンチも後味が悪く、だが そこに本当の現代があるとでも 言うのだろうか。2013/12/29
どんぐり
79
著者は英国推理作家協会 (CWA)賞受賞作家のミネット・ウォルターズ。2013年週刊文春ミステリー海外部門3位、2014年このミステリーがすごい!2位の作品。シングルマザーと子どもたちが住む低所得者向け住宅団地で起きた少女の失踪事件と女医の監禁事件。ドラッグが蔓延し、争い事が絶えない団地に小児性愛者の親子が住んでいる噂が広まり暴動へと発展する。複数の視点を交差させて2つの事件を同時進行に描くものの、面白さを欠いたものになっている。このミステリーすごくないね。2024/09/09
Panzer Leader
78
低所得者向け住宅団地に小児性愛者が入居したとの噂と近隣での少女失踪事件を切っ掛けに単なる抗議デモが暴動に発展してしまった。地理的要因とバリケードで警察・機動隊は当該地区に突入できず正に孤立地域。この危機解決のキーパーソンとなったのは出産間近い恋人を持つ刑務所から出所したばかりの小悪党ジミー。歯止めの利かなくなった暴徒から監禁された女医を救って尚且つ愛する人を守り切れるのか。このジミー、悪だけれど考えや言動は極めてまともで、こちらも思わず感情移入してしまう。スピーディでハラハラドキドキな展開で目が離せない2021/05/09
星落秋風五丈原
76
冒頭、「飲酒で暴徒と化した若者たち、荒れ狂う」「死者3名、負傷者189名」という記事という形で、2001年7月28日の出来事が紹介される。この物語は【結果】から始まり【原因】へ向かう。それは同時に、極めて曖昧な情報が、確信へと変わってゆく過程を追うことでもある。まだSNSが今ほど伝播されていないが、現在ならばもっと早く広範囲にこういった情報が流れていくはずだ。また一方で、監視する側の技術も上がっているので、本書のように暴動に対してほぼ無力な警察というのはありえない。2017/08/17
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