内容説明
若手歌人に圧倒的な支持を得ている加藤治郎がお届けする現代短歌の画期的入門書。映画の歌や遊びの歌、食べ物や色彩の歌など異色の分類で短歌がぐっと身近になります。短歌の魅力がぎっしり詰まった一冊です。
目次
1 短歌を知る(未知の感覚へ 意識の水底へ 口語の歌 視覚、心理、場 短歌的喩 直喩 音喩 固有名詞 社会を詠う 職場を詠う 不安を詠う 夢と現実 序詞 本歌取り 枕詞 掛詞 緑語 歌の輝く場所)
2 作歌と鑑賞のポイント(短歌ワンダーランドへ 食べ物の歌 家族の歌 星の歌 戦争の歌 地名の歌 映画の歌 動物の歌 仕事の歌・家事の歌 遊びの歌 父母の歌 雨の歌 昭和の歌 街の歌 夢の歌 思い出の歌 色彩の歌)
3 鑑賞を深める(雪よ林檎の―北原白秋を読む 水銀とレインコート―テキスト読み、エピソード読み、評価史的読み 「或るもの」を読み取る 春日井建の文体 俵万智と時代 現代短歌という翼 心のこと―米川千嘉子『衝立の絵の乙女』を読む 賢治短歌の謎―シュルレアリスムの先駆け 現代の恋歌―仮想題詠によるアンソロジー)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
101
短歌を詠んでいる方が身の回りに多い。短歌では勝負にならないので、もっぱら解説に廻ろうと企み手に取る。本歌取りを学ぶ。藤原定家は、「二句の上三四字はこれを免す」とのこと。これで習うのはどうだろう。初出はNHK短歌が多く、2009年から2011年頃。うたう、歌壇、短歌、かりん、路上、國文学2000年から2012年まで。多くの短歌を紹介しており、どの一首にでも共感すれば、そこが入り口(door)という仕掛け。短歌版どこでもドア。全部を読もうと思わずに、気に入った一首を探してからそこを読めばよいかも。2013/10/28
June
31
前半、一生懸命理解し吸収しようとしてかなり疲れてしまい長い間中断していた。後半はやや流し読み。前半の内容がとても濃いと思います。以下メモ。真水から引き上げる手がしっかりと私を掴みまた離すのだ/今夜どしゃぶりは屋根など突きぬけて俺の背中ではじけるべきだ/雨だから迎えに来てって言ったのに傘も差さず裸足で来やがって/氷きるをとこの口のたばこの火の赤かりければ見て走りたり/雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁/あの胸が岬のように遠かった。畜生!いつまでおれの少年/2017/10/10
太田青磁
31
《鍵穴に鍵を充たしめやはらかく夜の指うごく 誰も見てゐぬ》鍵は自らの身体の先端になったかのように生々しい《雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁》雨の県道という風景から異物の発見、のり弁と分かるまでの意識の推移が巧みに表現されています《あの胸が岬のように遠かった。畜生!いつまでおれの少年》なぜ手が届かないのだ。そのやるせない感情がくっきり伝わってくるのです《卓上の本を夜更けに読みはじめ妻の挟みし栞を超えつ》夫婦で本という一つの世界を共有する。そんな充足感のようなものも伝わってきます2014/11/26
ちゃありぃ
18
技術的なことより知識としての短歌をぼんやりと知ることができました。序詞、本歌取り、枕詞など、読んでいて面白かったです。あと印象的だったのは宮沢賢治の歌ですね。2014/01/20
はち
10
短歌初心者から中級者向け。つまりその間にいる私にはぴったりの一冊。第一部で短歌の技法について。第二部では実際テーマを設けて読み解く。第三部は実践編。題詠は苦手なので第二部が一番参考になる。2013/09/24