内容説明
酔った元小児科医がマンホールにはまって死亡。市会議員が山道を運転中にエアバッグが作動し、運転をあやまり死亡。どちらもつまらない案件のはずだった。事故の現場に、ひとりの娘の姿がなければ。片方の案件を担当していた先輩弁護士が、謎の死をとげていなければ。一見無関係な出来事の奥に潜むただならぬ気配。弁護士エヴェリーンはしだいに事件に深入りしていく。一方ライプツィヒ警察の刑事ヴァルターは、病院での少女の不審死を調べていた。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたりの軌跡が出合うとき、事件がその恐るべき真の姿をあらわし始める。ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃のミステリ登場。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
132
この作者の、第2作目「黒のクィーン」を先に読んだのですが、既読感を持ちました。主人公二人といい、子ども(子ども時代)が関連したり、あるいは人格的な問題が出たりということで、事件や状況は異なるのですが。レベルとしてはかなり高く面白い感じがしました。オーストリアあるいはドイツが出てくるので私には楽しめました。2015/09/29
hit4papa
99
ドイツ語圏のミステリでありながら、人名、地名を除くと、英米の翻訳ミステリと言われても違和感がありません。国境を超えて広く読まれるには良いのでしょうが、読みやすい反面、”らしさ”を求めるのなら物足りなさを感じるかもしれません。ミステリとしても良い作品ですが、登場人物の再生の物語として楽しむことができます。
巨峰
98
オーストリアの作家さんの推理小説。これは訳文もよくて結構おもしろかった。2つの異なった事件がどこでクロスするのかドキドキしながら読みました。ウィーンの女性弁護士、そしてドイツの機動捜査官。性別も年齢も違う二人の捜査が魅力的に描かれています。ただし、事件自体は結構悲惨です。(光文社の古典新訳文庫や新潮社のスタークラシックスに声がかかる翻訳家さんの仕事はほんとに外れがないですね)2019/04/19
mii22.
78
オーストリアの女性弁護士が担当したある男の事故死とドイツの刑事が捜査にあたったある少女の自殺。全く関係ないふたつの不審死が実は..とんでもない事件と関わっていた。別々の視点でそれぞれの真相を追っていき、繋がりが見えてきたところからはスリルとサスペンスと謎解きの怒涛の嵐。事件は吐き気がするほどおぞましいものだがとても面白かった。2019/02/04
GAKU
75
初めて読んだドイツの作家さんの翻訳ミステリー。全く関連性のない2件の事故死に不審を抱く弁護士のエヴァリーン。病院での少女の不審死を調べる刑事ヴァルター。二人と冒頭に登場する謎の少女。3人のシーンが並行して描写されてゆく。後半、別々に事件を追う二人の軌跡が出会うことにより、隠されていた驚きの真実が明らかになって行く。そこから終盤までは怒涛の展開に。緻密なストーリーと、とにかく猪突猛進で事件を追うヴァルターのキャラクターで、大変面白く読ませていただきました。他の作品も読まなきゃ! 2016/07/12