内容説明
子供の頃、伯母から聞かされた恐怖譚――。月のない夜、奥多摩の霊山に建つ神官たちの屋敷を男女の客が訪れた。思いつめた二人は、神主の説得の甲斐もなく屋敷内で心中を図ったという。だが女は死に切れず、事切れた男の隣で苦しみながら生き続け……。著者の母方の生家に伝わる話を元にした「赤い絆」「お狐様の話」など、怖ろしくも美しい全7編。短編の名手が紡ぐ、味わい深き幽玄の世界。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ehirano1
119
一遍一遍、余韻がかなり残るのでしっかり本書を楽しむためには、敢えてインターバルを置く必要がありました(一気読みしたいくらいでしたが・・・)が、一遍一遍を十分楽しむことができました。全体的にはTVの”世にも奇妙な物語”を思い出します。「遠別離」は泣けますね。 2016/02/14
優希
76
時に恐ろしく、時に美しく、時に物哀しい怪談でした。幻想の色が強く、過去・現実・未来が織り混じった不思議な感覚になります。美しい情景と幽玄の世界、人の深い想いが呼び寄せる世界に魅せられました。少し背筋が寒くなる感じがありますが、恋愛と絡めてあったりして綺麗な風景が見られました。時空の中に捕われ、物寂しさが漂う読後感が何とも言えない気持ちにさせられます。味わい深い美の世界へ誘われました。2015/01/27
saga
68
宮部みゆきの怪異譚を読んでいる時に発見した本書。復讐劇として印象深い「骨の来歴」。ドッペルゲンガーを扱った「虫篝」と、濃霧の中に過去と現代が交差する「遠別離」は、ともに太平洋戦争の兵士を登場させる物語で、特に「遠別離」は衛兵所の二等兵と、夫の戦死を知る彼の妻との邂逅に涙ぐんだ。読了後、浅田次郎の本棚を作成。2022/06/04
ひらちゃん
65
著者の母方の生家に伝わる話が元らしい「赤い絆」はありそうで怖い。狐憑きはほんとかな?「虫篝」はドッペルゲンガーを思わせるよね。浅田さんの世界にどっぷり浸かれて、あなかなしけれどあやしい世界にほろ酔い気分。これは昨日からの熱っぽさのせい?(笑)『神坐す山の物語』も読んでみたいな。2016/11/20
Shinji Hyodo
65
浅田さんが誘う幽玄の世界七編。あゝまた浅田さんに惚れ直してしまった…どの物語もしっとりと、時におどろおどろしく胸に迫って来る『客人(まろうど)』と『遠別離』が好きだな…世にも不思議な物語…怪談、幽霊…ファンタジー…浅田さんにはよくあるストーリーなのに、どれもまるで初めて読んだ様な新鮮な感動を覚えるのは単に自分の記憶力が衰えているからなのか、浅田さんの手練手管に良いように弄ばれているのか?まあ、どっちでもいいや。何がなんでも浅田さん、何は無くとも浅田さん、三度の飯より浅田さん…後は酒だけ有れば酔い(^^;;2015/04/18




