内容説明
食べられなくなった超高齢者に対し行われている「胃ろう」と多量の栄養点滴投与は、肺炎を誘発し苦痛を与えるだけである。死への準備をしている体にはそれにふさわしい栄養と水分があれば十分だからだ。待機者が常に数百人という特養の常勤医が提言する安らかな死の迎え方は、読む人すべてに熟考を促す。聖路加国際病院名誉院長 日野原重明氏推薦。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
72
kindle。本書は胃ろうに反対する特養ホーム常勤医師が書いたものです。人は食べられなくなったら終わりという考えに、個人的には賛成します。自分も最期はそうありたい(←ああ、ちゃんと意思表示を一筆書いておかなきゃ)。しかし、核家族による結果の老老介護、ホームの利用料の高価さと医療権限の少なさ、治癒を望めない場合の病院との付き合い方ーー死を迎えるまでの問題は山積です。わたしの母が口から食事をとれなくなり、もう半年(現在 経鼻で栄養を入れています)。個人的に苦しい読書でした。2019/08/20
さと
42
石飛先生のこれまでの苦悩と成長が手に取るように伝わる一冊。生かす医療ではなく寄り添う医療とでもういべきか。今日まで一気にこうした本を読んだ。専門知識や技術を持ち合わせないといはいえ、人として医師と対等である。権利を主張するのであればそのために私たちは必要な情報を収集し学ぶ義務もある。そして自分の命に対しての自由を主張するならばすべてを受け容れる責任もある。「覚悟」・・・ただ何もせずに平穏はない2014/12/08
Pー
30
老衰のため体に限界が来て、徐々に食が細くなって、ついに眠って静かに最期を迎えようとしているのを、どうして掘り起こして無理矢理食べなさいと口を開かせようとするのでしょうか・・・特養の常勤医を望んでこられ現場を知っている石飛先生にしたら考えられないことなんだ。もう寿命が来たのだから静かに眠らせてあげましょう。これが自然というもので平穏死です。病院に於いて広く行われている超高齢者に対する「胃ろう」や「栄養点滴」に疑問を持たれ、現状の医療や法的問題点を指摘されている内容だった。2018/04/26
あまね
26
友人からすすめられて図書館で借りました。題名が題名だけに手に取るまで時間がかかりましたが、子育てに手が放れ始める世代以上の方は特に、一読の価値があると思います。生きること、生かすこと、旅立ちに寄り添うこと、そして旅立つことを深く深く考えました。それにしても、現代の日本は自宅はおろか、ホームでも最後の時を迎えるのが困難なのですね。医療にまつわる法整備も、倫理観もたくさんの困難を抱えていることが分かりました。購入しようか悩むほど、とても良い本でした。2017/10/29
金平糖
25
私は枯れるように死にたい。著者は口から物が食べられなくなったら過剰な栄養や水分を摂取せず平穏な死を受け入れようと説く。しかし現在の日本では刑法がボトルネックになっており、終の住処である特養やホームでは看取りがなかなか行われず病院送りにされる。病院は延命処置をするのが使命なので胃瘻や経管栄養となる。欧州では食事は並べるが食べる意志のない者に「老人の自己決定を侵す」とし無理強いはしないそうだ。だから寝たきり老人がいない。「納棺夫日記」に病院で亡くなった人は水分が多く納棺するのに苦労するとあったのを思い出した。2018/04/08
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