- ホーム
- > 電子書籍
- > 教養文庫・新書・選書
内容説明
世界の現代哲学の主潮流をなす分析哲学の、決定版入門シリーズ、登場! フレーゲ、ラッセルからクリプキー、クワインにいたる現代哲学のスターたちの議論をふまえつつ、おもしろく、かつ深く、分析哲学的な思考を展開。論理的に厳密に考えること、真に哲学的に考えることの魅力にあふれた、おすすめの一冊。(講談社選書メチエ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
evifrei
16
初級編に比べてアカデミックな要素が強く分析哲学の専門用語も出てくるが、全体を通じて読むことで少しずつ分析哲学の全体像のイメージが立ち上がってくる感覚を強く覚えた。分析哲学はある程度アカデミックな要素を前面に出した方が解りやすい哲学なのかも知れない。個人的には最終章の『同一性』が本書で最も哲学らしい哲学という印象で、興味深く読めた。初めて分析哲学の書籍を読む方でも理詰めの哲学や論理学に抵抗が無い方には是非おすすめだ。読む前と後では少し世界に対する考え方が変わっているという哲学書ならではの醍醐味を味わえる。2020/03/08
白義
11
前作とうってかわって哲学者の名前を積極的に出し、やや深いレベルの議論にまで読者を誘導している。哲学史要素を足したのは評価点だが、結構読者を置いてきぼりにしてほいほい進むノリの文章で入門として多少の難あり。とはいえ、SF的な思考実験が、言語のどのような側面を明らかにするために導入されたのか、といった点が分かりやすく、言語から個体へという新たな転回と形而上学への導入も上手く、 類書の中では一段落ちるが総合的には良書。フレーゲの意味論解説が分かりやすい2013/08/16
またの名
7
「カナコは少女である」の真理条件はそれ自体では定まらないので、任意の時点tについてtにおいてカナコが少女である場合かつその場合にのみ真である、と当たり前の話も冗長に何度も確認する文体が特徴的。コンパクトですっきりした分析哲学の導入はやはりちくま新書のものが出色の出来なのだけど、総合判断に一挙に飛躍しないで学説を提示するときでもじりじり分析を進めていく感じが味わえる。不思議の国のアリス論では著者のスタイルが作家キャロルのナンセンスな世界に思いのほか合ってたことを思うと、今後その方向性からの啓蒙書にも期待。2017/07/23
無重力蜜柑
5
分析論、意味論、内包論、真理論、存在論、同一性論の六章。敢えて専門用語や人名を避けて却って分かりにくくなっていた初級編から打って変わって専門用語や人名や哲学史マシマシであり、やはりというかこちらの方が理解しやすい。とはいえそれでも難解なところの目立つ本になっている。分析哲学らしい整然とした文体で終始進むのだが、そのせいで常識的な前提から非直観的な異常な言説への論理展開がどこにあるのか……つまり、その文章を筆者がどれくらい強調したいのかが文体からは分からない。丹念に論理を追う必要がある。分析哲学すぎる。2021/10/25
Togo Murayama
4
ラッセルによる意味の指示説が誤っていることの証明が厳密で簡素で、何より日常的な直観との乖離が衝撃的だった。量化とかも最初wikipediaでみたときには、区別する意味がわからなかったけど、この本で現代論理学の言語分析における有用性を少しは理解できた、と思う。2014/12/20