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内容説明
ジョセフ・E・スティグリッツ(米コロンビア大学教授、69歳)は2001年ノーベル経済学賞を受賞、その一方、現実の経済問題についても積極的に発言しています。本書はその経済理論と思想をわかりやすく解説した本です。著者はアメリカでスティグリッツとともに研究生活を送っていた藪下史郎教授です。
ノーベル賞は「情報の経済学」という分野の研究に対して与えられました。それは、売り手と買い手が持つ情報に差があったり、市場の機能が不完全な場合に、経済的な矛盾が生じることを示す理論です。スティグリッツはそうした理論を基に貧困や不平等、繰り返す金融危機の背景を探り、解決策を提言します。その考え方は「現実の経済には『神の見えざる手』など存在しない」というもので、その点が市場の機能に最大限任せようとする新古典派経済学と大きく異なるところです。グローバル経済が抱える矛盾を、新たな視点で考える大切さを教えてくれます。一般ビジネスパーソンにも読みやすい内容です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
14
稀に使う図書館新刊棚。MITとケンブリッジとの経済学の違いに遭遇したスティグリッツ(20頁~)。ケンブリッジは資本主義の機能、不平等の解消、途上国発展が主眼。MITよりも多様な発想だったとのこと。IMFを批判したスティグリッツ。景気後退時に緊縮財政と高金利政策は総需要の減少、収益を下げ、倒産と失業を増やす(148頁)。結果、税収の減少、均衡財政が困難に(149頁)。貧困削減と格差解消は政治的・社会的安定のためにも、経済成長にも重要だと主張する(241頁)。至極当然。平等な所得分配と公平性重視(278頁)。2013/09/04
Francis
3
スティグリッツに教えを受けた著者によるスティグリッツの経済学の解説。不完全情報・非対称情報の経済学を中心に、グローバリゼーション批判など、多岐にわたる彼の言説を分かり易く解説している。世界一の経済学者であるスティグリッツの経済思想のエッセンスを知りたければまずこの本を読むべきだろう。2014/03/06
yooou
3
☆☆☆★★ 所謂経済学が現実の実体経済の役に立たないばかりか経済学が扱う領域自体に限界があるのはもう目に見えていると思うのだけど、これにしがみ付いている人たちによってまだまだ社会は歪められ続けていくのだろうなー。2014/02/23
凸凹
3
この本は、スティグリッツがどのように独自の経済学を形成し、またその研究成果がどういうものかをわかりやすく解説している。経済学を学んだことがない人でも本書の内容を理解できるように、第2章と第3章では、ミクロ経済学の基礎を、第4章では、情報の経済学の基礎を解説するという配慮がなされている。特に、第4章は、情報の経済学のエッセンスがコンパクトにまとまっており有益。2013/03/20