内容説明
O県警生活安全部「JWAT(ジェイワット)」は女性と子供の安全を守る特別チーム。一員である巡査部長・小松原雪野は、夜の公園で保護した高校生・隼人の証言に不信感を抱く。見知らぬ男たちに襲われたという彼は、なにかを隠しているようなのだ。路上強盗事件や、脱法ハーブとそれを入り口とした麻薬禍を追ううち、彼女は少年たちの中に潜んだ闇の存在に気がつく。だが、それは悪夢のはじまりにすぎなかった──。高嶋哲夫がスリリングに描く、書き下ろし新感覚警察小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
RIN
27
猫も杓子も警察小説、という時流に乗ったわけでもないだろうけれど、これは微妙。高嶋さんや笹本稜平さんのようなスケールの大きなテーマで書いてきた作家さんが警察もののミステリを書くとどうも必要以上にこじんまりとしてしまうような気がする。主人公も年齢の割に落ち着きがないしむやみやたらに突っ走ってはぶつかって無理やり方向転換・・・の連続て信念というか筋が通ってないし。文章巧者の高嶋さんなのに何だか行ったり来たりな描写が多く・・・。と、不満ばかり言ってしまいましたが高嶋さん作品好きなので次回に期待です。2015/05/27
よしりん
15
警察小説で描かれている内容はヘビーなものなのに主人公が甘いというか結果ゆる~い感じで今一つだった。2015/06/17
Mzo
13
生活安全課の女性巡査部長を主人公にした警察小説。『M8』『TSUNAMI』等の災害パニック小説の名手である著者ですが、こういう作品も書くんですね。次から次へと事件が起こる生活安全課の雰囲気はよく分かりましたが、ひたすら山場が続くのは災害小説の雰囲気を髣髴とさせて、面白かったんだけどちょっと読み疲れました。主人公の性格含め、もう少し緩急があってもいいのかな。2013/02/12
みやしん
10
面白くないわけではないんだけど、実写のシチュエーションを小説にしたような…さりとてノベライズでもない中途半端な印象。顔見せ程度の登場人物が多いのに、その立場説明を余計に加えるから無駄に脳のカロリーを費やされ、現場に二年も居続けるキャリアが結局なんもなかったのと、少年側のいいところをいつの間にか別の少年が台頭したのがその最たる例。細部にばかりこだわり過ぎる脚本家とプロデューサーの意向で方向性と話数がコロコロ変わったドラマみたい。2021/06/02
Yunemo
9
著者の幅広さに感激。ただ、当初の息詰まる雰囲気の作風が好きです。ここ直近の作品は、今の時代心象に合わせたものが多くなっている、と言えば、良い意味でも悪い意味でも、言い過ぎになってしまいますか。本作品、少年法の適用という意味では、現実にここまで来てしまっているのでしょうね。未成年者=子供、あるいは成人=大人という概念は、崩れつつあるのは事実です。改めて、現実問題としてどう捉えていけばいいのか、今の新聞を賑わす話題がここにあります。全世代への問題提起の作品と捉えて読了。2013/02/10