内容説明
八百屋の娘お玉は、利発な美少女。ある日、僧に「天下人を産む相がある」と告げられる。その予言を信じた母親が思い切った行動を起こし、お玉は江戸城大奥へ……。そこには、誰よりも先に男子を産むため、将軍の閨への熾烈な競争が! 側室、正妻、生母たちが、勢力を得るため権謀術数を巡らす。嫉妬や苦悩、時には滑稽なくらいの親子愛など、家光から綱吉時代の大奥の真実を生き生きと描く。書き下ろし歴史小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
54
八百屋の娘・お玉が綱吉の生母として君臨する話。綱吉はこの母・桂昌院に頭が上がらず、しかも男の子に恵まれない(まああんな環境では無理もないかも)。綱吉の寵臣・牧野成貞の妻お久里や柳沢吉保の側室染子との関係等々も描かれている。子に恵まれない将軍様は大変だねぇとしみじみ感じた。『灼恋(諸田玲子)』では京の公家の娘という設定の染子と綱吉、吉保の奇妙な関係がじっくり描かれているが、この作品の染子は柳沢家の家臣の娘という設定でサラッと描かれている。2021/01/12
なにょう
17
綱吉の生母、お玉の成功譚。お玉は次期将軍綱吉をもうけた。一族郎党も出世して、一生涯安泰に暮しましたとさ。しかし、人間の欲は限りない。綱吉に子どもを作らせようとあの手この手で女性を送り込むなど。結局は世継ぎは生まれず、甥の綱豊に将軍職を譲る。しかしまあ、戦国の気分は去り、庶民文化の花開いた元禄の世を治めた綱吉さんは、よい将軍だったと思う。2022/03/20
デジ姫
7
昔見たドラマの映像が浮かびとても読みやすかった。 お万の方・・瀬戸朝香。お伝の方・・小池栄子 2019/01/28
ひなぎく ゆうこ
2
スイスイ読みやすかったけど、内容は悲しいお世継ぎ問題。2018/05/15
Ayumi Shimojoh
0
綱吉の母、綱吉、お久里、柳沢の女中お染、それぞれの親の子を思う気持ち、それが通しのテーマなのだけど、終盤にお久里にバッサリ非難されるのね。桂昌院さまは間違っている、と。2014/02/22