内容説明
「地上の楽園・北朝鮮」を謳い、日本支援の下に1950年代から始まった在日コリアンの帰還事業。その陰で、妨害工作のため特殊部隊が極秘裏に活動を始めていた――。日本人同化・諜報訓練を重ね、夜陰に乗じて日本に上陸、しかし直後、故国・韓国では政権が崩壊する。封印された実態を、生存者九人の証言から炙り出す。
目次
序章 深夜の急襲
第1章 帰還事業動く
第2章 工作隊員選抜
第3章 山中へ
第4章 密航続々と
第5章 謀略はさらに
第6章 不如意な日々
第7章 塀の向こうへ
終章 苦難の代償
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
11
日本から北朝鮮への同胞帰還を阻止すべく、韓国から派遣された秘密工作隊の活動顛末と、その後彼らが歩んだ軌跡。日本への危険な密入国を果たしながらも、工作隊本部からの指示や資金も途絶え活動どころではなくなり、糊口を凌ぐので精一杯な状況となる。挙句「四・一九革命」李承晩政権崩壊で、撤収命令が出るが、出国間際で一網打尽に拘束され大村収容所ヘ。何とか韓国へ戻るが当初の口約束、工作隊任務完了後に警察官任用の話も反故にされる。国家補償を求めるまでの長い虚しい日々。歴史に翻弄された男たちの哀切のメロディが鳴り止まない^^;2017/03/18
SU
2
扱いの酷さに驚きました2016/08/12
Junichi Kitazawa
2
超地味な話でさらに悲惨さがつのる北送阻止工作員の皆さんの話 しかし今韓国との関係悪化とか言ってるけど、李承晩ラインのころとかもっと露骨に対立してたんだなあと2014/07/13
ミネチュ
2
北朝鮮へのいわゆる帰還事業を阻止するために、韓国から日本に送られた工作員についての本。 韓国は、独裁政権下では色々とひどいことが行われていたが、これもその一つ。なんともひどい話。 李承晩政権下で、極秘に日本に送られた工作員達。任務が終われば警察官への登用が約束されていたのに、帰国したときには李承晩は追放された後で、新政権からは黙殺され、警察官に採用もされず、補償を受けられなかったという。それどころか、日本での任務中の給与(?)も家族に渡されていなかったという…。2013/07/24
ちんれん
2
この中日新聞記者の韓国関連本は本当に毎回面白い。9万人が日本から北朝鮮に移民して行った北朝鮮帰還事業。それを阻止すべく、軍事独裁の韓国から棄民的な扱いで日本に送られた特殊部隊の隊員たちの実話。東アジアはまだまだホットで面白い。2013/04/08