集英社新書<br> 幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語

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集英社新書
幻の楽器 ヴィオラ・アルタ物語

  • 著者名:平野真敏【著】
  • 価格 ¥693(本体¥630)
  • 集英社(2015/09発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087206746

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内容説明

ワーグナーに愛されたにもかかわらず、音楽史の表舞台から「消された」楽器、ヴィオラ・アルタ。この数奇な運命をたどってきた「謎」の楽器が数十年ものあいだ、渋谷の楽器店の奥でほこりをかぶっていた。ヴィオラ奏者であった著者は、この楽器と偶然に出会い、魅せられ、ヴィオラ・アルタ奏者に転向。欧州を駆けめぐり、なぜこの楽器が消されたのか、その謎を解いていく。19世紀後半の作曲家たちがヴィオラ・アルタを通して表現しようとしていた音色とはどんなものだったのか。クラシック音楽の魅力と謎解きの楽しさに満ちたノンフィクション!【目次】はじめに/第一章 「謎の楽器」との出会い/第二章 失われた歴史を求めて/第三章 ヴィオラ・アルタを弾きながら/第四章 ヴィオラ・アルタの謎を解く/おわりに

目次

はじめに
第一章 「謎の楽器」との出会い
第二章 失われた歴史を求めて
第三章 ヴィオラ・アルタを弾きながら
第四章 ヴィオラ・アルタの謎を解く
おわりに

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みみずく

13
ヴィオラ奏者の筆者が、通い慣れた渋谷の楽器店でふと目にした楽器。ヴィオラより大きく、チェロより小さい。これはどこかの博士が作った「ヴィオラ・なんとか」という楽器らしい。そこから筆者のこの謎の楽器の歴史を探る旅が始まる。遅々として進まない調査だったが、オーストリアにいるもう一人の、この楽器ヴィオラ・アルタ奏者と知り合ったことで大きく前進する。現地で合奏したことによって発見した、ヴィオラ・アルタの音色の特徴。そしてこの楽器が消えてしまったことには戦争も影響しているようだった。(続)2014/04/02

はづきち

6
日本人のヴィオラ奏者、平野さんが偶然47センチのヴィオラ=ヴィオラ・アルタという楽器を見つけ、その歴史を辿って行く話。ミステリーの謎解きを読んでいるようで面白かったです。平野さんは「ドイツ人がドイツの音楽を奏でるために作ったドイツの弦楽器」だと言っています。一時はかなり流行った時期もあったらしいけど、政治的な問題や戦争での焼失等によって忘れ去られてしまったということです。私のようなドイツ音楽もヴィオラも好きな人間には、この上なく興味をそそられる楽器です。生の音をぜひ聴いてみたい!!2013/03/04

meg

5
フィクションとノンフィクションの狭間をたゆとう心地よいエッセイ。ヴィオラ・アルタというヴィオラよりも大きいサイズの弦楽器は、19世紀後半にドイツのリッター教授の設計によって量産されたものの、今日演奏する人もいなければ存在すら知られていない。なぜか。この楽器と運命的な出会いをしたヴィオラ奏者の著者が、ヴィオラとは異質の澄んで哀しげな音色を読者に聴かせながら、その謎を推測する。曰く、「ドイツ人がドイツの音楽を奏でるために作ったドイツの楽器」だが、ワーグナーに愛されたがゆえに、戦後その存在を消されたと。2013/08/13

ケニオミ

5
著者であるヴィオラ奏者が渋谷の楽器店で小さなチェロを見つける。それが著者を世界でも奏者数が極めて限られるヴィオラ・アルタ奏者へと駆り立てる出会いであった。ワーグナーやリストにも愛され、一時期には数多く生産されていたにも係らず、楽器の名前すら忘れ去られようとしていた楽器。その楽器の歴史を奏者として探求するのが本書です。wwwvioceblog.jp/violaromance/でヴィオラ・アルタの曲を聴きながら、この感想を記していますが、本書でパイプオルガンのような響きというのが分かるような気がしました。2013/03/15

CJ

4
歴史に埋もれて忘れ去られていた楽器「ヴィオラ・アルタ」を、ふとしたことで手にした作者が、その来歴や忘れられた理由を探し求めていく様子を描いた一冊。クラシックについてはまったく門外漢なんですが、非常に面白かったです。ひとつの新しい楽器ができて、普及してもおかしくない状況であっても、歴史の巡り合わせによっては埋もれてしまうのだなということに嘆息し、それがまた偶然により現代に甦ったということに感慨を憶えました。2013/07/23

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