内容説明
夫・吉村昭氏の死後、氏に関連する来客や電話の応対に明け暮れた日々。三年が過ぎ、再び筆を執った著者が身辺のことを綴った小説集。長年過ごした自宅を建て替え、独り誰も知る人のいない温泉地に滞在する。けれど何をしても感じているのは、夫の気配と思い出だった。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
じいじ
80
オシドリ作家の二人。夫・吉村昭を喪って、初めて書いた小説集。「私の身辺を綴ったものばかり…」とあとがきで述べている、夫婦の壮烈な実話の物語である。夫の死後に開けられた彼の仕事部屋の金庫からは、「私の死は三日間伏せよ」と妻あての遺書と、書き上げたばかりの短篇とエッセイが出てきた。全身に転移した癌と闘いながら、死の間際までペンを離さなかった吉村昭氏だった。そして、最後の夜は自分で点滴の針をはずして、あくる朝に静かに死を迎えた…。凄すぎます。これは、身近に付き添う奥様でなければ書けない小説である。2022/10/08
mondo
9
遍路みちは、著者の津村節子さんが、夫である吉村昭さんの死に向き合った日々をようやく、亡くなってから3年後に納めた著作である。亡くなるまでの夫婦の想い、亡くなって初めて気づいたことなど、吉村昭ファンとしては、心に残る作品であった。2016/11/22
こぺたろう
6
津村節子さんの本を続けて読みました。本書は短編集ですが、一作品を除いて、主人公は「紅梅」と同じ育子さん(=著者)。主人公の違う作品が収められている意味は、あとがきと解説に書かれていますので必見です。本書後半は吉村昭さんの死後、育子さんがどのように暮らして来たかが描かれていました。人脈もそうですが、結構裕福な暮らしをされているなという印象(社会的に成功されているので当然なのでしょうが)。それでも、満たされない傷を抱えられているところに、人生の儚さを感じました。2018/01/08
なおこっか
5
吉村昭の読者ではあるが、作家としての津村節子の文章を読んだことがなかった。本書は吉村を亡くして三年、再び筆を取って綴った喪失の日々の記録といえる短編集である。書き残す、ということの辛さを考える。再びの痛みを、再びの喪失を、体現して尚も書く業。吉行淳之介に何を入れるのかとからかわれた金庫から、原稿と遺言がでてきたところで読み手も涙。だが次第に作者は“書くこと”へと戻ってゆく。どうしようもなく、作家だったのだなあ、吉村昭の妻は。2019/08/05
博多のマコちん
4
吉村昭の夫人として同志的に結びついて生涯を歩いてきた津村節子さんによる、亡くした旦那を慕う書。というとつまらない三文読み物みたいだが、なかなか考えさせるところの多い私的物思い的意味有りの5編の短編集です。特に「異郷」が良かった。日常から離れぜいたくな時間をもつことは、どんな人どんなケースであってもその人の心を平穏に導くものとなるのだなあ。でも・ただ・しかし、一般庶民はその「ぜいたくな時間」というのを経済的になかなか得ることができないっ、とまた下世話な話しになってしまった。2018/12/24
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