内容説明
キム・フィルビーら5人のケンブリッジ大学卒業生がソ連のスパイだったことが発覚し、英国は大打撃を受けた。だが彼らのほかに、もうひとり同時期に暗躍していたスパイがいたという。歴史学者のギャディスは親友の女性ジャーナリストからこの人物に関する本の共同執筆を提案されるが、その女性が急死し、彼は後を継いで調査を開始する。が、やがて国際情勢を左右する事実が明らかに! 巧妙に構築されたスパイ小説の力作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
9
冷戦下の英ソ諜報史に詳しい方なら「ケンブリッジ五人組」と聞いて「ふむふむ」とにんまりされるだろう。私は「エニグマ」で停滞中なので、冒頭の注釈で初めて知ることとなる。さて。もし「6番目の男」がいたらどうだろうか? というのが「ジャブ」に過ぎないと気が付いたのは、さりげなく本書がメタ小説へと移行しており、一級のミステリ小説として無我夢中で読んでいるときだった。興をそぐことになるので、あとはだんまりを決め込むことにする。2017/08/10
Masa
8
読了。『甦ったスパイ』を読んだとき、なぜこの作家がカレに次ぐと言われているのかわからなかったけれど、本作を読んで納得。スパイ小説特有の全体に漂うだるさみたいなものと陰謀、駆け引き。一級のスパイ小説でした。とはいえ前半は本当にだるくて、「これは失敗だったかな?」と思いましたが後半に向かうにつれてしっかり盛り上がってきました。結末も良かったです。スパイ小説らしい終わり方。主人公は歴史学者でスパイではないのですが、だからこそ、本作は上出来なのだと思います。2016/11/13
niyopiyo
7
冷戦期、ソ連のエージェントとして暗躍した“ケンブリッジ5人組”に、第6のスパイがいたとしたら…という設定のフィクション。「実はその資料が…」という誘いに乗って、第六の男の存在を追う主人公が、6人目の存在を隠したいSISからもKGBからも狙われたり追われたり、更にはスパイ素人な主人公また勝手に行動するもんだからで、読んでいるこっちまで疑心暗鬼のてんやわんやな冒険小説でした。おもしろかったけど、つ、つ、疲れた…。2016/10/30
鐵太郎
7
ケンブリッジ五人組と呼ばれる、英国の情報機関、政府を震撼させたロシア(ソ連)の浸透スパイたちは、実はもう一人いた、というのがこの本のメイン。お話としてなかなかスリリング。しかしこの主人公、中年の歴史学者サム・ギャディスが、女好きの上にまったく人の言う事を聞かず、約束は破るためにある、自分の家族のためなら何をしても平気、というムホン気たっぷりな「平凡で無垢な民間人」なので、読んでいていらいらします。この辺が評価を落としたところかな。主人公をもっとなんとかすればそこそこ面白かったのでは?w 2013/04/29
yuki_furu
4
英国スパイ小説らしく「裏切り」をテーマにした、過去を発掘する話……と思ったら違った。いろいろとダメな主人公が寝た子を起こしてしまい、危険な騒動を巻き起こす。ダメなんだけど芯の強い男なので、事態はどんどん深刻に。なんか主人公が幸運に恵まれすぎているような気もするけれど、巻き込まれ型(というより首突っ込み型だな)のスパイ・スリラーとして楽しめた。2013/01/27
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