夢と眠りの博物誌

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夢と眠りの博物誌

  • 著者名:立木鷹志
  • 価格 ¥2,200(本体¥2,000)
  • 青弓社(2014/03発売)
  • ポイント 20pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787233493

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内容説明

眠りの哲学・医学的解釈を導いたアリストテレスやギリシャ神話から『眠りの森の美女』、『吸血鬼ドラキュラ』、『バイオハザード』まで、思想・文学・芸術の研究書・思索書を渉猟し、死と眠り、夢と覚醒が織りなす世界を実存的にとらえ返し、身体の神秘に迫る文化誌。

目次

序章 「眠り」とは何か?
 1 神話からエコノモまで――睡眠学説史
 2 クライトマンとREM睡眠の発見――エコノモ以降の睡眠研究
 3 睡眠のリズム
 4 「眠り」の実存的とらえ返し

第1章 眠りと不眠――不眠の存在学
 1 不眠の恐怖
 2 「眠り」の実存的概念
 3 不眠症のパラドクス
 4 眠りという文化
 5 寝室という装置
 6 必要睡眠時間とは
 7 ドラッグの眠り
 8 不眠を受け入れる

第2章 夢と眠りの構造学
 1 夢の彼方に向かって
 2 夢の特徴――その主体と推理
 3 夢と想像力
 4 夢の現象学
 5 明晰夢について
 6 想像力の可能性――存在の彼方へ

第3章 死と眠りのフォークロア
 1 “眠り”の民俗学的位置
 2 ヒュプノス、ヘルメス、アスクレピオス
 3 『眠り森の美女』の民俗学
 4 死と眠りの様相――古代から中世へ
 5 死と眠りの様相――近代から現代へ
 6 死者の眠り、あるいは生ける死者
 7 ドラキュラと不眠症者
 8 現代の欲望と資本
 9 現代のドラキュラの柩のありか

第4章 現代と夢の力
 1 川端康成『眠れる美女』の逆説
 2 死の象徴としての「眠れる美女」
 3 「夢みる力」の概念
 4 アスクレピオスの治療
 5 眠りと夢の螺旋構造

跋章 眠りの名人・奇人たち
 1 哲学者の眠らぬ工夫――アリストテレス
 2 無眠者と言われた天才――レオナルド・ダ・ヴィンチ
 3 明晰夢研究のパイオニア――エルヴェ・ド・サン=ドニ侯爵
 4 近代“怠け者”精神のモデルたち――オブローモフとデ・ゼッサント
 5 “発明王”と資本主義精神――エジソン
 6 心理学者の“夢判断”――フロイト
 7 “怠け者の天才”――アインシュタイン

参考文献

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

安南

50
このところ、ねむりについての小説を読んでいるので参考になるかと。伝説、神話から思想・文学・芸術を縦横無尽に紐解き、様々な側面から夢と眠りと死についてとらえ直した充実の内容。ページ数は少なめだが、得ることは多かった。特にレヴィナスの「眠りとは、不眠が現前させる《裸の事実》を祓うための《悪魔祓い》であり、自己をひとつの場所に委ねる、避難所を得ること」といった不眠の定義は興味深い。2015/05/13

佐倉

10
眠りと夢を文化的な事象という側面から論じていく、という試みをする一冊。大脳生理学など科学の論点では拾えない、社会にとっての眠り、個人にとっての眠りという観点は面白かった。現状の資本主義社会が眠りに価値を置いていないのは確か。本書でいうエジソンのようにショートスリープ最高!眠るのは無価値!という在り方からは流石に変わってきてはいるが、パフォーマンスのために睡眠が必要!という風潮も実用性に本位を置いている点でさほど変わり無いかもしれない。ドンレニ侯爵やアインシュタインのような個人的な付き合い方が好ましく思えた2023/08/31

デビっちん

5
再読。人間の眠りに正常なかたちなど存在しない。「眠り」とは一種の技術であり、自然なものではない文化的に作られた幻想である。眠るのが生理的自然だから眠れないのは不自然だという考えが前提にあり、眠りを自分の望み通りに得られるものと勘違いしたのが、現代の不眠症。眠りとは不眠の中断。不眠の中で眠っていることを忘れてはならない。睡眠に対する考え方が変わった。寝る時間を短くしようとしていたが、逆で、覚醒している時間を長くする。当たり前のように思えていて、因果関係を逆にすると、見えてくるものは何があるだろう?2015/04/12

デビっちん

4
再読。眠れば必ず夢を見ていて、眠りのなかでも夢のなかでも考え続けている。夢を意識して記憶したつもりでも目覚めると何も思い出せないことが大半だが、夢を記録するという訓練を通して、夢を記憶し思い出せるようになる。夢を夢と意識して夢を見ることもできる。夢を意識できるようになったとき、夢のなかで意識的に問題を解くこともできるようになる。普段ほとんど夢を見ないが、夢を見るための訓練をして明晰夢を見てみたい。そういえば、夢をテーマにした映画があったなぁ。2015/07/26

鳩羽

3
眠りとは「不眠の警戒」からの逃避であり、「現前する裸の現実」の回避であるとする。まあ、ぐっすり安らかに眠れるのが当たり前だとする信仰めいたものを解きほぐし、夢をみるとはどういうことなのかを哲学・心理学・民俗学的に考えていく。心理学的な分析ばかりじゃないところが目新しい。眠りが死のアナロジー出会った時代から、キリスト教や資本主義の影響からそうではなくなり、眠りの違いが死生観の違いとなっていくところが面白かった。2013/03/02

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