内容説明
映画・テレビ・アニメなど、ビジネスのなかで商品として消費される作品をコンテンツとして位置づけて、「内容」「産業政策」「人々の受容」などの多層的な視点から、東アジア各地域のナショナリティーと日本のコンテンツとの結び付きを立体的に明らかにする。
目次
序 章 日本の映像メディア研究と映像コンテンツ産業研究の動向 谷川建司/須藤遙子
1 映像メディア研究としてのフィルム・スタディーズ
2 映像コンテンツ産業と映像コンテンツ産業研究の現在
3 本書の各論考の位置づけ
第1部 テレビ&フィルム・スタディーズの可能性
第1章 韓国歴史ドラマの特徴 朴順愛
1 韓国の歴史ドラマ素材
2 韓国の歴史ドラマ人気
3 繰り返しドラマ化される素材と韓国人の価値観
4 中国の「東北工程」と歴史ドラマ
5 歴史ドラマと「韓流」
第2章 「文化政策」としての自衛隊協力映画――一九九〇年代以降の作品群にみる現代ナショナリズム 須藤遙子
1 一九九〇年代の文化政策と映画政策
2 一九九〇年代の自衛隊協力映画
3 二〇〇〇年代の文化政策と映画政策
4 二〇〇〇年代の自衛隊協力映画
5 現代のナショナリズム
第3章 吹き替えの文化/文化の吹き替え――言語のローカル化による文化的アイデンティティー創出の可能性 谷川建司
1 外国製テレビシリーズと専門職としての声優の誕生
2 『0011ナポレオン・ソロ』
3 『国際秘密警察/鍵の鍵』と『What’s Up, Tiger Lily?』
4 言語のローカル化と文化的アイデンティティー創出の可能性
ほか
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
東隆斎洒落
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日本の映画・テレビ・アニメなどの歴史が、韓国、香港、中国に与えた影響についての考察。 日本の自衛隊協力映画は国家国防の大きな視点が薄れ、家庭、個人に焦点を当てるという分析は興味深い。 また、韓流ドラマブームの影で、国内では大河ドラマが根付かない韓国事情、香港における西洋と東洋文化の融合による「間性」のアイデンティティ、台湾のコスプレ文化など、国民性とビジネスの関係について4人の著者が分析している。 冒頭「何万語を費やすよりも、30分の映像を見せた方が伝わる」とあるが、今の私は、耳学問の域を出ていない。2013/01/06