内容説明
明治期から3・11まで三度にわたり大地震・大津波に嘆息した、東北・三陸の村「田老」。甚大な被害を出し、高さ10.45メートル、総延長2.4キロにおよぶ「万里の長城」を築きつつも、必敗の覚悟を持って自然の脅威と対峙し続けてきた人びとの逞しさを描く。日本の近代を重ね合わせ、東日本大震災をあらたな視点で見る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
19
2011年初出。 冒頭は、寺田寅彦、宮沢賢治の引用があり、 原発事故への反省を促される。 賢治氏も津波の経験をもっている(27頁~)。 昭和8(1933)年3月3日のこと。 第3章には柳田國男。 『遠野物語』99話(71頁)。 機会をつくってあたってみたい。 また、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲も 明治三陸大津波に触発されたという(78頁~)。 『生ける神』は和歌山の小学校教師中井常蔵が 翻訳・再話(83頁)。 2014/04/04
遊々亭おさる
3
幾度も襲いかかる大津波に対抗すべく、万里の長城のような防潮堤を築き町を要塞化した岩手の田老地区の百年にわたる災害との戦いが描かれています。自然の猛威に人間は勝てない。しかし、抗わなければ愛着のあるその地に住めなくなる。災害に打ち勝つための防災か、負けることを前提にした減災か、自然災害大国日本に住む我々は田老地区の成功と失敗の歴史を参考にしながら我が町の災害対策を考えていかなくてはいけないのだろう。2013/03/02
エル
1
吉村昭の『三陸海岸大津波』を読んでから気になっていた田老。田老の歴史を紐解くこの本は ・災害は人災の面が多い。 ・いかに防ぐのではなく減災するのだ。 ・記録することの大切さー誰が、なぜ、どう考えてこのようなことをしたのか、いまを生きる自分たちばかりでなく、後世の者に過ちや成功を含めた真実の知恵を手渡していく必要がある。 など、人間のおごりを戒め、過去の出来事を胸に刻み、災害とは戦わず勢いを殺すようにするなど大切なことを教えてくれた。 2018/08/02
ゆふいん
1
年表(略式のものでよいので)と、町内の詳細な地図を掲載してほしかった。東日本大震災に関する記述を求めているのならば、オススメはしない。 2013/01/31
MASAKO
0
田老地区の人々の、津波防災の歴史について考えさせられる本。自然災害の前に人のできることは少ない。減災の考え方をもとに、歴史から学び、風化させないことが大切だと思う。2014/12/02