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内容説明
これまでの長い活動の中で、その所属団体に阿ることのない発言を続けてきた著者の、日本の危機についての総決算となる書。今の日本の危機の深刻さをあらゆる方面から直視し、危機をこれまで深刻化させたのは何か、これまで有効になりえた「手」を、誰がどんな背景の中でつみ取っていったのか、有効になりえたかもしれない「手」とはどんな手だったのか、そして今、日本を危機から救い出すにはどんな「手」が必要になるのか、について明らかにする。
著者は、生産力水準でいって近現代文明の後発国として先発国に追い着き追い越すことができた1970年代が、大きな転換点だった考えており、この時期に、経済の量的拡大から生活の質的充実へ国民的目標を転換する必要があったと考えている。高成長の時代が終わり、貯蓄超過を反映して貿易赤字が恒常化し、円高が進行したこの時期にこそ、社会政策を抜本的に強化して必要成長率を引下げ、中成長のもとで内外の需給均衡を維持し、完全雇用と完全操業を持続させることが必要とされていた。高齢化を前にして、年々の歳出を切り捨てる「小さな政府」ではなく、社会保障や社会資本の拡充を進める「有効な政府」が必要だった。
一貫してブレずにこうした主張を続けてきた著者が、さらに対処療法を繰り返し、危機の深刻さを増している日本の今の状況について、わかりやすい言葉でその原因を明らかにし、日本人がつくりだすべき新しいシステムのグランドデザインを語る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
1.3manen
4
著者の所属していた頃の東京大学は、圧倒的多数の同級生がエゴイストで、社会のために意味ある仕事をする能力を持つという意欲や熱意をもっていなかったという事実(34ページ)。そういう人たちが人の上に立ったので、危機の日本社会となった。現代は民志向の東大経済学部は法学部よりはマシな学生が多いらしいが。1974年のスタグフレーションのようなのがアベノミクスでもたらされないようにお願いしたい。デフレ時のインフレターゲット論は無効(248ページ~)。実質賃金を上げないでいて、物価だけ上がれば、弱者はたまったものでない。2013/01/16
Francis
2
著者は経済学者。自らの歩みを振り返りつつ、日本の深刻な危機をもたらした原因として安定成長をもたらす社会政策の不在、日本国憲法の理念である自由民主主義と社会民主主義に立脚した政治勢力の不在に求めている。とりわけ革新勢力がマルクス主義に囚われてかえって現状変革への能力を失った事を厳しく批判している。正村氏の著書を読むのはこれが初めてだけれど、氏の慧眼には感服した。他の著書も読んでみたい。2013/06/24
aoko
1
お年を召した学者の本らしく、歴史的事象を説明する流れの中に「私はどのように考えていて云々」「私はどのように意見したが云々」がカットインしてくるのでやや(かなり)読みにくい。主張によっては意外と?柔軟性も感じるものの、かなりのオレオレ感は否めない。2013/03/19
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