内容説明
総合商社の秘書課長・悪田に突然かかってきた電話。柴崎さよ子と名乗った女は知られたくない過去を握っていた。女を殺害した悪田はとてつもない「アリバイ作り」を思いつく(「あて逃げ」)。老若男女あらゆる主人公たちが思いめぐらす殺人の「偽装工作」。それが崩れるまでの人間模様を鋭く描いた倒叙ミステリーの傑作短編集! 文庫未収録の作品「哀れな三塁手」も特別収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
140
これも短編集で、いわゆる倒叙推理小説ということで、犯人側からの視点で書かれています。書かれた当時はこのようなものは日本人作家ではあまりなかったのでしょうね。殺害動機などが若干松本清張作品と比べるとやはり物語という感じですが、十分に楽しめます。2017/02/12
yu
38
Kindleにて読了。 時代を感じる部分はあるものの、安定した面白さ。「赤い靴下」が一番印象的。友達の誤診により、無精子症と信じていたばっかりに、自分の妻の妊娠を浮気と疑い、自殺するまで追い詰めた主人公。イヤ、どう考えたってお前が一番悪いよって思うんだけど、その矛先がそっちに行きますか的な結末がちょっと悲しい。人間、誰かに怒りや恨みを向けても、いい方向には決して進んでいかないってことだねぇ。2017/04/28
coco夏ko10角
24
到叙ものばかり8つの作品収録の短編集。犯人のちょっとしたミスや警察に気づかれるポイント…やはり到叙ミステリーは面白い。2020/08/11
takahiko
18
犯人側からの視点で描かれた倒叙ミステリーのみの短編集。犯人側は完全犯罪のつもりでいても、刑事の突如の登場で全てが崩壊に。どの作品の似たようなパターンでしたが、「あて逃げ」のアリバイ確保は異色でした。2013/07/26
Kouro-hou
9
タイトル通りのアリバイ崩し特化短編集。内容はすべて倒叙型で手を変え品を変えしてるのですが、タイプが似通ってしまっているのが残念なところ。 次は長編に挑戦。2013/01/17