内容説明
注意されただけなのに「許せない」と訴える若者、お客相手に逆切れするサービス業の店員など、自分の感情を傷つけた相手を許せずに攻撃する人間が増えている。だが、攻撃したところで気が晴れるわけではなく、ますます怒りが増幅したり、相手の反撃にあって不毛な争いが生じたり……。なぜ、大したことでもないのに相手の言動や態度が許せず、心の中にマイナスのエネルギーを溜め込んでしまうのか。ネット時代の心の交流の変化が、人の気持ちを読み解くことの経験を薄くし、「上から目線」になってしまうのか。今大切なのは、「許す心」を取り戻すことだ。日本本来の「許しの文化」について触れながら、現代の生きにくい状況を具体的に取り上げ、今こそ求められる人間関係を良くする対処法としての「許す技術」を説き明かす。
目次
第1章 相手の非を許せない人たちと「許す心」の弱体化
第2章 なぜ許せないのか?
第3章 日本特有の「許す文化」と阿闍世コンプレックス
第4章 「許す文化」を支える「母なるもの」
第5章 視点を高めることで感情に巻き込まれないようにする―ものごとを俯瞰する立ち位置をとる
第6章 「許す心」が幸運を呼び寄せる
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アルカリオン
8
書名への回答は、「心理的距離が縮まると、遠慮がなくなるため、お互いにわがままが出やすくなる。そのため関係が深まれば深まるほど衝突することが多くなる。関係の浅い相手なら気にならないことも気になり、許せることも許せなくなる」p53▽期待せずにふらっと入ったラーメン屋が当たりだったときの満足度が一番高くなりやすいってのと、根っこは同じだな▼一方、核となる主張は「許すのは自分のため」。悪くない本だが、書名はやや羊頭狗肉的。裏表紙の7行紹介文は、内容に即している。(つまり、書名と裏表紙がマッチしていないわけだが)2020/10/26
かやん
5
許せないのはなぜか が書いていなかった。それが知りたかったんだけど…。ただ、第五章の視点を高めることで感情に巻き込まれないようにする はとても参考になった。2014/02/25
森博嗣作品が好き
5
日本人の特徴「許す文化」について書かれてます。 バブル後不景気&社会不安からか沸点が低い人が増えたらしいです。 私はあまりキレナイし怒らないから、たいして「許せない人」はいないけれど読んでみた^^ 自分では許してるつもりでも心の何処かでは許していなかったりするのは相手が謝らないからだという事が良く判りました^^2013/01/16
しゅんぺい(笑)
5
榎本博明さん、最近いっぱい本出してるなあ。けっこうこのひとの本は好きです。 本書のテーマは「許すこと」について。タイトルにぼんやりと共感したので読んでみました。 「許されること」で罪悪感を覚える日本文化、ということがとても示唆的でした。普段から感じていることをまさにそのまんま言い当ててくれてた。父性文化の欧米、母性文化の日本、ということもなるほど、と思いました。 本当に、この本に書かれているように、「許すこと」でお互いががんばれるような、そんな関係がどこかしらでもう少しだけ生まれることを願います。2012/12/12
mayumi
3
近い相手というより、半端に近い人に腹立たしい思いをすることが多いように思うが、許すのはなかなか難しい。なので耳と目をふさぐことにしています。許すに至るには修行が必要かなあ。2014/07/11