内容説明
夫・瞳についてのノンフィクションを書きたい――癌の宣告を受けてから、別の顔を見せるようになった母。神経症のため、外出も思うに任せなかった母は、その原因を私に吐露し始めた。その「証言」内容は次第に変化してゆき、最後に父の一言に帰着した――。山口瞳の暴露遺伝子が炸裂する、『血族』の場外乱闘篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きみさん
5
山口瞳氏の一人っ子の書いた母の臨終の記。 いかに彼が母を愛していたかが、全編に切ないほどに描かれている。二人は「共依存」の間がらだったのか? 父・瞳氏の「生まれ変わったらやっぱり妻はあなたがいい。息子はやっぱり正介がいい。」という言葉が、この家族の全てを表していると思ふ。 そしてまた、正介氏も「お父さんはやっぱり瞳がいいな。お母さんはやっぱり治子がいい。」と言い切っている。 夫婦って何だろう?親子って何だろう?家族って?疑問3レンチャンである。2014/11/08
丘野詩果
5
私小説に興味を持つのは、その中心人物が有名だったり、好きだったりする事によるのだけれど、この本の著者は山口瞳氏のひとり息子さんで作家ということで、実は全然知らなかった。まさにタイトルで選んだ本。内容はお母様の闘病記。家柄の良い、聡明な方だそうだけど、いわゆる一般人。けれど正介氏にとってはかけがえのない人だ。お母様の事を語りながら瞳氏のことや交友関係、家庭内の事などが垣間見えて興味深い。感心したのは、ここまで細かく記録を残し、愛情を持って介護されていたのが文面から察しられることだ。どこの家庭でも必ずある親の2013/04/22
kokada_jnet
4
母の死去前後を描いている。「山口瞳の息子」という過大な看板を背負って作家生活しているのに。面白いものといえば、家族のことについて書いたものだけという・・。悲しい現実が。 ところで、この本は映画化をしてほしいと思った。岡本喜八監督がご存命なら、お願いしたかったものだが・・。2012/11/29
星菫
1
「メンタルに問題ありだが可愛い夏子さん・飄々とした庄助さん」というイメージを勝手にもっていたので、さらけ出されたふたりの心の暗部に慄然とした。愛し合いながらも殺し合う人達は「人殺し」を彷彿とさせるが、実話である分、こちらのほうが痛々しい。2012/12/27
おーね
1
他人にはうかがい知れない家族の内実を、自身の心情を少しセンチメンタルだけど率直に描いていると思った。でも、長い月日がこんな風に過ぎていくのは・・・つらいなと思った。2012/12/15
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