内容説明
面作師のもとで修行する太良と甘楽。面とはふつう、縁日で見かける、子どものおもちゃを差す。けれども、いにしえから続く面作師は、縁日で売りだす屋号とは別の、裏の屋号を持っているものなのだ。そして、裏の屋号では、妖面というものが売られているのだった。妖面は願いをかなえてくれる面。妖面のうわさは、不思議なことに必要とする者の耳にだけ、届くのだという――。人であるゆえの喜怒哀楽をえがいた戦国ファンタジー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七色一味
91
読破。○日1冊会(基本、1日1冊会)にて読友さんが「いい」とおっしゃっていたので、ごっそりと借りて読んでみました。言葉遣いや地の文はかなり現代よりになっていて読みやすいし、なによりもお面屋さんというのが新鮮でした。一話目を読んで、この先このパターンが続くのかな? と思ったら二話目は毛並みが異なってちょっと「おぉ?」。そして三話目で、このふたりの魅力にがっちり掴まれました。カテゴリはYAあたりですが、これは大人だからこそ感じられるモノがあると思いますよ。オススメです^^2014/08/29
BlueBerry
60
読友さんがお勧めしていたので読んだ次第。妖怪を絡めた江戸の人情物の連作短編集。人情の機微が良く表現されていて大人が読んでも十分楽しめると思います。全体的には「しんみり」してしまう話が多いのだけれど希望がある話もあって楽しませてくれますね。シリーズになって3作目まで出ているそうなので追いかけようと思います。2014/10/19
Nyah
47
「お面屋たまよし」とは、太良と甘楽の親方任王次が作った面を縁日で売りだす屋号であるが、それは表の顔。裏は妖面を売る。妖面は願いをかなえてくれる面。妖面をつければ、姿かたちを変えて、自分のなりたい人間になることができるが、面に取り込まれると人に戻れなくなる。それを承知し買い求める人々。お面で欲望に 絡め取られて浄化されてしまう人がいる。読みやすかった。「それ面白いよね」漫画しか読まないような息子と共読。 ※太良と甘楽は御招山で同日に捨てられて、天狗の穏が拾い、面作師任王次に託した赤ん坊だった。 2021/10/22
☆よいこ
47
お面屋たまよし①御招山(おまねきやま)に捨てられ山の主に拾われた子供、太良(たいら)と甘楽(かんら)は面作師の見習い。二人で師匠のお面を売って歩いている。昼間は「たまよし」として普通のお面を売っているが、お面屋には裏の屋号「魔縁堂」で妖面をあつかう。妖面をかぶると、望んだ姿に変身することができるという。ただし、妖面が外せなくなった時はそのまま消されてしまうリスクを負う。▽[御招山からの使者]小天狗迅雷(じんらい)の隠密[枯れない花]岩が花に[へそ曲がりの雨宿り]太良と甘良の里帰り[ある兄の決断]2019/08/12
hirune
46
祭りでお面を売っている若い面作師の弟子たち、表の屋号の他に裏の屋号で、一時だけ 自分のなりたい姿になれる妖面をも売っている。でもこの面は外せなくなれば荒魂化して 存在を消される羽目になる。危ない賭けですよね。止むに止まれず買い求め、どういう結果になるのか…興味深く 面白かったです。「枯れない花」のお勝が理性的で確りとした女性になっていきそうなのが頼もしかった☆2019/06/28