内容説明
47歳の経験と知恵があって、身体が17歳だったとしたら。あの頃、躊躇してできなかったこと、悔いの残ったことを、もう一度やり直せるとしたら。バツイチの柊子と、幼い頃に手放した娘の美羽の身体が、ある日、入れ替わった。久しぶりの学校の試験に四苦八苦しながらも若さを楽しむ柊子。一方いきなり30歳も身体だけが歳をとってしまった美羽は……。母と娘、女と女として向き合うふたりの運命は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
129
『ですから、私たち、入れ替わってしまったみたいなんです』。まさかの”母子入れ替わり”というファンタジーの極みのような物語が描かれていくこの作品。そこには、あくまでそんな目の前にある事実に向き合っていく母親と娘のリアルな姿が描かれていました。思わずそれぞれの身になって状況を考えてもしまうこの作品。自分も誰かと入れ替わってしまったらどうしようと不安な気持ちも湧き上がるこの作品。極めて大胆な設定の先に、母親と娘の繋がりに光を当てる物語。心の機微を丁寧に描くその結末に熱いものが込み上げてもくる傑作だと思いました。2024/07/13
takaC
62
どうせ最後は元に戻るのだろうという予想を見事に裏切ってくれる傑作。その後の展開の想像の幅が広がり長く印象に残る。この集英社文庫の東えりか女史の解説よりも朝日文庫の温水ゆかり女史の解説の方が個人的には好み。今回は朝日文庫(佐倉城近くで購入)で読み始め集英社文庫(丸亀城近くで購入)で読み終えた。2014/09/10
mazda
40
一気読み。設定もストーリーも面白かったし、ありえない、と思うだけに感情移入できた気がします。東野圭吾さんの「秘密」とも似ているけど、こちらはこちらでよいかな、と。一度離れ離れになっていた親子が、失われた時間を取り戻すような、そんな感覚でしょうか?オススメの1冊です。2014/02/11
ありちゃん@道東民
34
心が入れ替わった母子。こういった入れ替わりのストーリーは良くある話だけれど、本作は見事に裏切られ、斬新なラストだった。柊子と年齢的には近いので、わかるわかると思いながら読んでいた。若い時の恋愛は純粋で美しく、真っ直ぐである。でも、年齢を重ねると更にそうなるものなのかもしれない。歳を重ねたからこそ出来る恋愛があるのだろうと思う。17歳の娘の身体になった柊子のとった行動も良くわかる。若さを手に入れ、胸を張りたくなる。今後柊子はどのように生きていき、どのような恋をするのか楽しみであろうと思う。2017/05/08
との@恥をかいて気分すっきり。
32
心が入れ替わったのが母子で女性同士という設定。それも離婚した後に出会った母と娘というややこしい関係が物語に深みを与えている。青春と恋愛、自律をめざす女性と子育てをする母親としての立場、それぞれの葛藤と決意が立場が入れ替わることでクッキリと浮かび上がる。終わり方はふたつしかないから、こっちを選んだのかという感じ(笑)。2015/11/03




